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2014年01月10日

2014年はデフレ脱却いよいよ本番へ

 新しい年、2014年が明けた。昨年はアベノミクスによって株価が大幅に上昇し景気回復が始まったが、2014年はその流れが一段としっかりしたものとなるだろう。
 昨年1月のこのコラムで「2013年は大転換の予感」と書いたが、それが現実となった。それは単に一時的に株価が回復したとか、景気が良くなったというレベルではなく、長年にわたって続いてきたデフレと経済低迷から脱却しつつあるという、まさに「大転換」と呼ぶにふさわしい動きだった。2014年はデフレ脱却がいよいよ本番の年となりそうだ。 

2013年11月の消費者物価は1.2%上昇

 物価の動きを振り返ってみよう。昨年4月まで消費者物価指数(生鮮食品を除く)は下落が続いていたが、日銀が金融緩和に踏み切った翌月の5月に前年同月比でゼロとなり、6月以降はプラスとなった。その後も月を追うごとに上昇率は拡大し、12月末に発表された11月は1.2%の上昇となった。これは2008年10月以来、約5年ぶりの上昇率の大きさだ(図表参照)。

Okada_2014-1.png 5年前の2008年は、原油が高騰してNY市場で1バレル=147㌦の最高値をつけた年である。その影響で、その年の消費者物価は一時2.4%まで上昇した。現在の消費者物価はその頃以来の上昇となっているわけだが、当時と現在では決定的な違いがある。
 これを「食品とエネルギーを除く総合指数」でみるとよくわかる。2008年当時の上昇率は最大で前年同月比0.2%、年平均だとゼロだった。これは、原油高騰の影響は一部の品目に限られ、物価全体は上昇していなかった、つまりデフレ状態から脱却できていなかったことを示している。

「食料とエネルギーを除く」では15年ぶりの上昇率

 これに対して今回は、「食料とエネルギーを除く」でもプラスに転換してきている。昨年9月に5年ぶりにゼロとなった後、10月は0.3%上昇、そして11月は0.6%上昇となっている(図表参照)。この上昇率は実に98年8月以来、15年ぶりの大きさだ。これはデフレ脱却が近づいていることの証左と言える。
 物価の変動には、コスト要因と需給要因の2つがある。コスト要因とは、原油価格上昇のようにコスト面での変動が消費者物価に及ぶもので、2008年の物価上昇はそれに当たる。一方、需給要因とは需要が盛り上がって物価が上昇する場合だ。今回、「食料とエネルギーを除く」でも上昇に転じてきたことは、国内需要が動き出した、つまり需給要因から見て物価上昇の力が強まってきたことを示している。これこそがデフレ脱却に向けた動きである。
 この流れは2014年も続くだろう。日銀はデフレ脱却のため「生鮮食品を除く指数」で2%の上昇率を目標にしている。2014年中の目標達成はまだ届かないかもしれないが、2%に向かって徐々に上昇率を拡大させていく公算が大きい。

株価、地価、賃金の上昇にも注目

 デフレ脱却という点では、消費者物価のほかに3つの点に注目したい。
その第1は株価である。当然のことながら、株価の動向は景気に大きな影響を与えるため、株価上昇が持続することが必要だ。株価は昨年5月にいったん高値をつけた後、約半年間、調整が続いた。しかし昨年11月から再び上昇軌道に乗り、昨年末には1万6000円台をつけた。今年も株価上昇は続くと見ている。
 実は、日本のデフレの特徴は資産デフレを伴っていたことだ。したがって株価回復はデフレ脱却の重要な尺度なのである。条件さえ整えば、日経平均2万円も十分あり得ると見ている。
 資産デフレという点では、地価にも注目したい。これが第2の注目点。国土交通省が昨年9月に発表した都道府県地価調査では3大都市圏の商業地はリーマン・ショック後初めて上昇に転じた。全国平均では商業地、住宅地ともに下落だったが、下落率は縮小した。今年は全体として底を打ち上昇に転ずるかどうかがポイントとなるだろう。
 第3の注目点は賃金の上昇だ。デフレは賃金のデフレでもあったわけで、今年は賃上げがどの程度行われるか、その結果が消費をはじめマインド全般にも影響してくるだろう。ここがアベノミクスの勝負どころでもある。
 このように見ると、2014年は日本経済がデフレから脱却し再び元気を取り戻す上で、きわめて重要な年になりそうだ。

岡田晃

岡田晃

岡田晃おかだあきら

大阪経済大学特別招聘教授

1947年、大阪市生まれ。1971年に慶應義塾大学を卒業後、日本経済新聞社へ入社。記者、編集委員を経て、テレビ東京へ異動し、「ワールドビジネスサテライト」のマーケットキャスター、同プロデューサー、テレ…

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