今年も残すところわずかとなった。2014年は4月の消費増税の影響で消費が落ち込み、景気は停滞感が強まった1年だった。株価もそうした景気の停滞に加え、海外で様々な波乱が起きるたびに乱高下を繰り返し、12月には原油価格の急落によりロシアのルーブルが暴落し、一時は世界同時株安となった。
このようなことから、2015年にも不安を抱いている人は多いのではないだろうか。しかし筆者の見方はもう少し楽観的だ。日本は今以上に景気回復が進み、株価上昇も続くと予想している。日経平均株価は2万円の大台を回復する年になるだろう。
2014年の株価の推移をよく見ると、少し意外なことが分かる。景気は消費増税の影響で4月以降に落ち込み、株価もそれを先取りして今年に入って軟調な展開となっていた。ただそれはある程度は想定の範囲内で、予想外だったのは、回復するであろうと予想されていた夏場以降も景気の低迷が続いたことだった。普通なら、そこで株価も一段と下げてもおかしくなかったはずだが、実際は逆にその頃から回復軌道をたどり始めていたのだ。
日経平均株価は4月に今年の安値、1万3885円を付けた後、一進一退を続け、
5月下旬以降は極めて緩やかながら上昇し始めた。その後も一時的な急落もあったが、年末にかけて一段と上昇し、一時は1万8000円台に乗せる場面もあった。12月に入って原油急落の余波で株価が下落したが、それも落ち着きを取り戻し、25日現在で1万7800円台まで回復した。今年に入ってからの上昇率は9%余りに達しており、なかなかの成績なのだ。
これは株式市場が、景気の先行きについて腰折れせず回復基調は続くと見ていたことを示している。そして現実にここまで株価が回復してくると、そのこと自体がまた経済効果を発揮して、景気の押し上げ要因となるのである。消費の回復にはもう少し時間が必要のようだが、ここへきて生産と輸出の持ち直しの兆しが見えてきている。
2015年はこの流れが持続すると見ている。日経平均株価はまず1万8000円台乗せが当面のターゲットだが、これはおそらく時間の問題だろう。次の目安は2007年7月の高値である1万8261円だ。そして次の目標が2万円の大台ということになる。2万円回復を達成すれば、実に15年ぶりのこととなる。
バブル崩壊後の日経平均を振り返ると、これまでに3度の大きな回復局面があった。
(1)1995~1996年6月:高値=2万2666円(終値)
(2)1998~2000年4月:高値=2万0833円(同)
(3)2003~2007年7月:高値=1万8261円(同)
グラフ上でこの3回のピークを直線で結ぶと、ちょうど右下がりの直線になる(グラフ(1))。戻りのピークがだんだん下がっていたわけで、一度も前回の高値を抜けずに回復局面が終わっていたのだ。
そのトレンドを現在まで引き延ばすと、現在の株価水準はすでにそのトレンドラインを上回っている。これはバブル崩壊後で初めてのことなのである。つまり、現在の株価がバブル崩壊後の長期低迷のトレンドから、すでに上抜けしていることを示している。
さらに今後、(3)の高値を上回ってくれば、名実ともに株価の長期トレンドが新たな局面に入ることになる。そしてその次のターゲットは(2)の2万0833円。そうなれば、2015年中はともかくとして、1~2年のうちに(1)も超えていくことになるだろう。これらが順次実現すれば、株価は従来の「回復」から、いよいよ「長期的な上昇相場」に入っていくことを意味している。
その背景となるのは、景気の一段の回復、というよりデフレ脱却と日本経済復活の動きである。アベノミクスの加速が期待されることに加えて、原油安のプラス効果が表れ、米国経済の好調も続くことなどが支援材料となる可能性が高い。
当然、それを阻害するリスクや懸念材料は数多く存在する。時には相場が荒れることも予想される。しかし前述のような長期的な視野で株価や景気を見ていくことも必要だ。2015年はこの予想が的中することに期待したい。
岡田晃おかだあきら
大阪経済大学特別招聘教授
1947年、大阪市生まれ。1971年に慶應義塾大学を卒業後、日本経済新聞社へ入社。記者、編集委員を経て、テレビ東京へ異動し、「ワールドビジネスサテライト」のマーケットキャスター、同プロデューサー、テレ…
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