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2016年05月25日

他国のスポーツ文化から気づかされること

2015年9月20日。歴史を刻んだ瞬間があった。
ラグビーワールドカップでのあのステージを覚えているだろうか。

最後の最後でラグビー日本代表が34対32 というスコアで強豪南アフリカから勝利した瞬間を今でも鮮明に思い出すことが出来る。
「歴史が変わった」
日本のラグビー関係者はそう感じた。

以前の日本は、ワールドカップでの白星は1991年大会でのジンバブエ戦のみだった。

2011年からエディー•ジョーンズヘッドコーチの下、日本チームは”JAPAN WAY” を掲げて改革を狙った。
勝利の全ては、戦略、ストラテジーと準備の賜物だった。

そんな歴史的な勝利の背景から半年以上が経ち、感じることがあった。
「ブームではなく文化にしたい」
多くの代表選手が口を揃え発言をしていた。

先日、オーストラリアのシドニーとキャンベラを訪問した。

オーストラリアと言えば、広大な土地がある。日本の22倍だ。しかし、人口は6分の1程度しかいない。

ラグビーはもちろん国技であるし、競泳も数々の名選手を輩出し、世界トップクラスの成績を残している。日本人には馴染みの少ないクリケット競技や、オーストラリアンフットボール競技も盛んである。
また、日本のJISSと呼ばれる2001年に完成した、国立スポーツ科学センターのモデルとなっているのが、AIS。オーストラリア国立スポーツ研究所だ。経済的な部分で言えば、1人当たりの国民所得は世界第5位であるし、先進国として、世界で最も裕福な国の1つとして、世界第12位の経済規模を有する。

何度も、オーストラリアには滞在しているが、スポーツと生活が非常に密接である。
ヨガウエアーや、ランニングウエアーの人は普通に街を歩いているし、全然変には思わない。
まず、朝5時からランニングしている人も多く、私がよく通うプールは朝7時からオープンしている。しかもアウトサイドだ。
また、シドニーの名所でもあるハーバーブリッジの近くにある伝統的なプールである「North Sydney Olympic Pool」も平日は朝5時半から夜9時までオープンしている。また海外のプールでは珍しくないが、スイムキャップを被っていない利用者も沢山いる。日本ではそんなこと考えられない。

地域の人たち全ての人がリラックスして施設を利用している。
レベルなんて関係ないのだ。

「僕はトライアスリートで、ここのプールでほぼ毎日泳いでいる」という人もいれば、「去年にシドニーにイタリアから移住してきて、毎日運動できるこの環境に感動している」という人もいた。
「日焼けだけしに来ている」と笑う女性もいた。

とにかく、運動するとスッキリするし、悩みも吹き飛ぶ。

人種も年齢も目的もバラバラではあるが、同じ時間に運動をしにくる人たちはなんだか親近感が湧いた。
また、監視員の方も気さくで明るい。
いつも泳ぎに行くたびに「How are you today?」と聞いて来る。そのあと、一言でも二言でも会話が続き、人間関係が発展するような気がする。
挨拶や会話が、スポーツの場面でも大事な要素だ。

ラグビーワールドカップのあとに選手たちが言った「文化にしたい」という言葉の中には、トップの選手だけではなく、スポーツを楽しむ人たちをいかに増やし、続けさせることが出来るのかという日本のスポーツ文化の課題を感じることが出来た。

競技力向上だけがスポーツと感じるが、そうではない。

オーストラリアに行くと沢山の気付きがある。

彼らは、なんで運動をするのか。
人生を楽しむために、スポーツをしているんだと。

伊藤華英

伊藤華英

伊藤華英いとうはなえ

競泳オリンピアン(北京/ロンドン五輪 水泳女子日本代表)

べビースイミングから、水泳を始め、15歳で日本選手権に初出場。女子背泳ぎ選手として注目される。2008年日本選手権女子100m背泳ぎで日本記録を樹立。初めてオリンピック代表選手となる。その後、怪我によ…

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