最近の話題と言えば、パラリンピック。今まで、知らなかった或いは、知っていたが見た事がなかったと言う人が多いのではないだろうか。私は、ロンドンオリンピックで引退をして、「見る」初めてのオリンピックになった。また、パラリンピックに関しては現地に行き、間近で選手の頑張りを見ることができた。感動的なシーンが多く、やり抜くという選手の姿勢には、オリンピックと変わりのない、軌跡を辿ってこの場に立っていることを感じた。障害者が行うスポーツではなく、アスリートが行うスポーツだということを改めて認識することができた。
私は、男子100m背泳ぎ(知的障害)で日本チームに勢いを与えた津川拓也選手のインタビューに心を打たれた。頑張りましたねという、インタビュアーの問いに「自分は頑張りました」と答えた。この言葉を言えるのは、やりきったと思えるレースをしたということ。達成感が伺えた。見ている側も大変清々しく、幸せな気持ちになれた。自信を持つということはどういうことなのだろうか。私が定期的に教えている水泳教室では多くの将来オリンピックを目指すキッズスイマーがいる。年間スケジュールで行うレッスンだが、最近は始めのころより、大変多くのキッズスイマーに自主性が出て来た。引退をして、人に何かを伝えることがこんなにも難しいことであることに気付き、自分を見てくれていたコーチには、感謝の気持ちを抱く。小学4年生の男子スイマーが、全てのレッスンが終わったら「コーチ飛び込み見て下さい」と言って来た。今までは緊張をして、自分のことを話せなかったキッズスイマーにとっては大きな進歩だった。全国大会に既に出場している選手ではあるが、「日本選手権に出たいです」と伝えてにきた姿にも感動した。
いつもキッズスイマーは褒めてもらいたくて、こんなことも出来てあんなことも出来るようになったと報告してくる。そんな時は、必ず褒めるようにしている。話せたことや、出来たことを。このことが良いとは思わないが、私は、どんなことでも小さな成功体験が必要だと思っている。特に神経系の発達におけるゴールデンエイジは9歳から12歳だと言われているから、この年の子どもたちと触れ合う時は、自分の能力に気がつけるかが将来を変えるのであれば尚更成功体験は大切なのかもしれない。
しかし、この小さな成功体験は、大人でも言えると思う。大人の方が複雑で難しい。更に、人と比べるという方向に行ってしまうと、どんどん疲れてしまう。自信のなさとはどんなものなのか、素晴らしいアスリートのように、清々しく自分を誇れるためにはどうしたらよいのか。トップアスリートまではいかなくとも、自信は持てるはず。まずは、1つでいいから自分の信念を決めること。信念というと重い感じがするがそうではない。例えば、「嘘はつかない」など、「あきらめない」などの1ワードで良いと思う。しかも自分の心の中で決めておけば何にも恥ずかしくないし、辛くない。どうしても、自分が辛く苦しくなった時、心に芯を通す自分なりの1ワードを見つけるのも悪くはないのではと感じる。自分を自分に戻す1ワード。状況によってこの1ワードは変わって良いと思う。
少しでもいい、自分で自分を褒められるように。
伊藤華英いとうはなえ
競泳オリンピアン(北京/ロンドン五輪 水泳女子日本代表)
べビースイミングから、水泳を始め、15歳で日本選手権に初出場。女子背泳ぎ選手として注目される。2008年日本選手権女子100m背泳ぎで日本記録を樹立。初めてオリンピック代表選手となる。その後、怪我によ…
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