小学校で相撲を教える機会がたまにあるのだが、最近の子供たちは足腰の粘り強さや負けん気が足りないような気がして寂しい気持ちになる。昔よりは身体は大きくなったけれど、ちょっと体が当たっただけで転んでしまったり、ニヤニヤ笑いながら相撲を取っていて絶対に勝ってやるという気迫が伝わってこない。
子供の体力低下の問題は「ケガをするから危ない」など、親や教育機関が心配しすぎる事にも原因があると思う。私は少々のケガなら子供のうちに沢山しておいた方がいいと思っている。それはケガする事も学びの一つだからだ。
例えば相撲では、どういうふうに倒れたらケガをするか、どんな技をかけると危険かなど、時にはすり傷や青あざを作りながら体が覚えていったりする。
私も幼い頃から、毎日のように休み時間や放課後には相撲を取り、すり傷や切り傷が絶えることはなかった。傷口が化膿して足をつけないほどの事もあった。ただこれは極端にしてもそれらの経験から傷口の手当を覚えたりする。ケガをする事でケガへの対応力も身につき痛くないような転び方を工夫する。そして何より相手への加減もわかるようになってくる。
また、今の子供たちに足りないと感じるのは、我慢強さとか辛抱強さだ。これはいくら言葉や物語を用いて聞かせても、暖簾に腕押しの如く本意は理解し辛い。これを教えるために私は、ある程度の強制をすることも必要だと思っている。一つの目標を立てて、それに向かって繰り返し、繰り返し努力させるのだ。
相撲の基礎の稽古では毎日同じ事の繰り返しだ。四股やテッポウなどは単調なトレーニングで、これは特に呼吸が苦しくなるようなトレーニングではなのだが、回数が増えてくるにつれ、徐々に肩や太ももが熱くなってきて「ズドーン」とした、だるさがボディーブローのように襲ってくる。
だが、その苦しい過程を乗り越えれば、苦しさはなくなり、習慣性が身についてくる。そこまで来ればしめたもので、忍耐力が自然にそなわり強くなっているのだ。この感覚を今の子供に身につけて欲しいのだ。
そのためには何度でも言うが大人の強制が必要だ。当然だが子供は強靭な精神力は持ち合わせていないからだ。では、どうすれば良いのか。それは次回お話したい。「体育」という授業を通して、子供にとって一番辛抱や達成感が味わえる方法を。
舞の海秀平まいのうみしゅうへい
元力士
1968年2月17日生まれ。日大相撲部にて活躍。山形県の高校教師の内定が決まっていたにもかかわらず、周囲の反対を押し切って、夢であった大相撲入りを決意。新弟子検査基準(当時)の身長に足りなかったため、…
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