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2010年09月15日

野球をやっていたことをマイナスにしない

 今の宝塚ボーイズ(以下、宝塚)もそうですが、部員数が増えると当然、試合に出られない選手も増えます。そこでいつも思っているのは、試合に出ること、レギュラーになることは大きな目標ですが、そのためだけの野球ではあってはならないということです。

 高校野球の世界でも甲子園だけが目標になってしまうと、高校生活が終わったあとに何も残らない選手が出てしまう。それまで寝食を忘れるほど野球一筋に打ち込んだことが、社会へ出た時にマイナスになっては、本人にとってもこれほど悲しいことはありません。

 そうならないためにも、野球を通じて人間性を磨くことが大切で、最低限身につけておかなければならないのが挨拶と礼儀です。近年、社会全体のマナー低下が叫ばれ、挨拶や礼儀を知らない子どもが増えています。「自由」や「個性」といった言葉にすり替えられ、躾というものが非常に曖昧になっていると感じています。

 宝塚では毎年小学6年生を対象にした体験練習を行いますが、その時点で「はい」とはっきり返事のできる子どもが年々少なくなっているように思います。だから、指導も返事を教えることから始まります。

 挨拶や礼儀は各家庭でしっかり身につけさせてほしいというのが本音ですが、社会で通用する人間性を身につけるためにも、繰り返し教えていかなければならない部分です。

 多くの選手にとって真剣に野球をやるのは、高校か大学までで、人生はその先の方がずっと長い。野球をやっていたことがマイナスにならないよう、選手自身も、挨拶、礼儀の大切さに1日でも早く気づいて欲しいと思っています。

奥村幸治

奥村幸治

奥村幸治おくむらこうじ

ベースボールスピリッツ代表

イチロー選手が210安打を達成した時に、イチロー選手の専属打撃投手を務めていたことから“イチローの恋人”としてマスコミに紹介され、以来コメントを依頼されてのテレビ出演多数 。 1999年に中学硬式野…

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