今年、国際大会などの遠征や国体のコーチとしてプールサイドに立つために、水泳指導員及び専門科目のコーチ資格を取得する必要があり、いよいよ講習と試験を受ける決意をしました。そして現在その真っ最中である訳ですが、指導方法や考え方を理論的に教えて頂くことは予想以上に興味深いです。それ以外にも、研修会を受けさせて頂く機会に恵まれ、なるほどなぁと思うところ多数です。これまでは自分の選手時代にコーチから指導を受けていた経験をベースに(かの井村先生ですけど・・・!)、そこから取捨選択しつつ選手指導に当たっていました。つまりは個人知識の切り売りをしていただけ。やはり指導側も常に知識と経験のアップデートが重要であると認識しました。
選手の技術レベルや年齢、性格によってもティーチングが適している時期があれば、コーチングが適している時期があるという内容や、選手に対してイエスかノーで答えられる質問(クローズクエスチョン)ではなく、必ず言葉にしないと答えられない質問(オープンクエスチョン)を意識することで選手自身も考える力が身につく、などなど内容でいくつも印象に残るものがありました。
理想は、選手の主体性を上手く引き出し自らの気づきを促していければいいのですが、しかし現実はなかなか簡単にはいかず・・・。講習や研修を受けて、「これはいい!」と思ったことを実践していますが、練習時間中のいつの間にか全て指示ばかりに。1から10まで全部言ってしまっている自分に、はっと気づきます。
最近特に感じた難しさで言えば、振り付けを覚えるのが遅い選手がいて、せっかくの外部指導者による特別レッスンの日であったにも関わらず、時間内に覚え切れず同じ個所を間違えたままその日が終わり、次の日も同じ振り付けを練習するとわかっているのに、そこを復習してこないのです。わからないところを他の選手に確認したりしないのです。私は自分の経験の記憶からして、「できないなんて悔しい。明日は絶対一番でできていたい」と考えました。なので、できないままでも平気でいられる選手の心が理解できないし、許せないっ!と思ってしまいます。だから、怒ってしまうのです。「復習しておきなさいよ、と言われなければしないの?この外部指導者によるレッスンの真の目的は表情や表現力を身に着けることなのに、あなたは振り付けを覚えることが一番の目的になってるじゃないかっ!!」と、やってしまうのです。これは考えの押しつけなのでしょうか。おそらく「できないままで今日の練習に臨んで、どう思った?」と優しく問いかけ、自ら進んでやってくれるように気長に待つのがよいのでしょうけど、今の私、そこまで忍耐がないかもしれません。修行ですな・・・。
これ以外にも、理想と現実のジレンマがいっぱいあって悩ましい限りのコーチ修行をしておりますが、こうやって色んな性格の選手と対峙しながら、それぞれに合った最適な指導法を確立していければと思っています。
武田美保たけだみほ
アテネ五輪 シンクロナイズドスイミング 銀メダリスト
アテネ五輪で、立花美哉さんとのデュエットで銀メダルを獲得。また、2001年の世界選手権では金メダルを獲得し、世界の頂点に。オリンピック三大会連続出場し、5つのメダルを獲得。夏季五輪において日本女子歴代…
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