ロンドン五輪の開幕が、いよいよ迫ってきました。サッカーは男女ともに、27日の開会式に先駆けてスタートします。今週からしばらくは、日本にいながら時差があるような日々を過ごすことになります。
関塚隆監督率いる男子のU-23日本代表は、18日にベラルーシ、21日にメキシコとテストマッチを行ないました。一方、佐々木則夫監督率いるなでしこジャパンは、19日にフランスと対戦しました。直前の準備で生じたこの違いは、それまでの強化スケジュールに理由が求められます。
昨年9月に五輪出場を決めたなでしこジャパンは、ロンドン五輪へ向けて着実に強化をはかってきました。2月にポルトガルで開催された国際大会に出場し、4月にはアメリカ、ブラジルと国内で対戦した。6月にはスウェーデンへ遠征し、アメリカ、スウェーデンと顔を合わせた。フランス戦を迎えるまえに、今年だけで9試合を消化しています。
女子の強化を司る上田栄治委員長は、2004年のアテネ五輪でなでしこジャパンを率いました。佐々木監督も、北京に続いての五輪となります。五輪から逆算して、いつ、何をすればいいのかを、彼らは共有することができています。
2月のポルトガル遠征を<中間試験>に、6月のスウェーデン遠征を<期末試験>に置き換えれば、直前のテストマッチが1試合だった理由が分かると思います。本番へ臨む準備は、すでに整っている。コンビネーションとコンディションを最終的に確認していけばいいわけで、大会間際に<追試>をする必要がないのです。
U-23日本代表は対照的でした。
こちらは3月まで五輪予選があり、出場決定後は5月のトゥーロン国際トーナメント(フランス)が唯一の強化でした。しかも、トゥーロンではグループステージ敗退に終わったため、3試合しか実戦ができなかった。<中間試験>の途中で、チームが解散したような状況だったのです。
さらに加えて、オーバーエイジの問題もありました。
吉田麻也(VVVフェンロ/オランダ)と徳永悠平(FC東京)の二人は、当たり前ですが予選には出場できません。トゥーロン国際にも参加していません。彼らを交えたコンビネーションを、急ピッチで構築しなければならない。そうしたチーム事情を踏まえると、1試合では足りなかったのでしょう。
ベラルーシ、メキシコと中2日で対戦したチームに、私は<一夜漬け>という言葉を思い浮かべずにはいられませんでした。Jリーグとの兼ね合いがあるので、強化スケジュールの確保は難しい。それは分かります。それでも、もう少し時間を捻り出すことはできたはず、と正直私は感じます。
いずれにしても、準備はギリギリで間に合った印象です。メダル候補にもあげられているメキシコに、2対1で勝利したのは明るい材料でしょう。
26日の開幕戦で対戦するスペインは、メキシコと同じように細かくパスをつないでくる。相手にボールを支配されたなかで、どのように勝機を見出すかという意味で、メキシコ戦はいいシミュレーションとなりました。
だからといって、日本の勝算が高まったわけではありません。スペインは強い。間違いなく強いです。代表経験者が多く、先日のユーロ2012に出場した選手もいます。オーバーエイジのひとりであるマタは、欧州でも名の通った実力者です。
スペイン戦の日本は、耐える時間が長くなるでしょう。粘って、粘って、同点か1点差で終盤まで持ち込みたい。シュート数で言えば、3対15本とか、5本対18本ぐらいの差はつくはず。そのなかで、メキシコ戦のようにワンチャンスを生かしたい。
なでしこジャパンは、フランスに0対2で敗れました。私自身は、結果は気にしていません。勝てば勢いに乗れるし、負ければ引き締まる。どちらにもメリットはあります。
むしろ大切なのは、初戦へ向けたマネジメントです。フランスに負けたことを、選手たちがどのように受け止めているのか。戦術的な問題点はどこにあったのか。メンバーはこのままでいいのか。佐々木監督は、選手の動きを事細かにチェックしていることでしょう。
個人的に気になるのは、昨夏のワールドカップとの違いです。
世界の頂点に立ったあの大会のチームは、1ミリのスキさえ見せなかった。ほんのわずかなスキを見逃さなかった。全身が疲労に襲われても、歯を食いしばってやるんだというエネルギーに満ち溢れていました。そのあたりの貪欲さが、このところ表に出てきていない印象があります。
佐々木監督の手腕が問われるところです。
山本昌邦やまもとまさくに
NHKサッカー解説者
1995年のワールドユース日本代表コーチ就任以降10数年に渡って、日本代表の各世代の監督およびコーチを歴任し、名実ともに日本のサッカー界を牽引してきた山本氏。山本氏の指導のもと、成長をとげた選手達は軒…
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