4年に一度のワールドカップ・イヤーが、いよいよ幕を開けました。大会を勝ち抜くためのポイントは、前回の更新分で触れました。そこで今回は、ブラジルW杯における日本の目標について触れたいと思います。
代表チームを率いるザックことアルベルト・ザッケローニ監督は、ブラジルW杯のノルマに触れていません。日本サッカー協会からも、具体的な目標は語られていません。ザック監督とサッカー協会に代わって、目標を明言しているのは選手たちです。
本田圭佑や長友佑都は、かねてから「ワールドカップで優勝する」と話してきました。イングランドでプレーしている香川真司は、「決勝トーナメントでイングランドと対戦できたら」という希望を抱いています。もちろん、対戦することが目標ではなく、「強い気持ちで勝ちにいく」と続けます。
4年前の南アフリカ・ワールドカップ当時に比べると、選手たちは確実にステージをあげています。2010年当時は海外でプレーする選手が松井大輔(グルノーブル/フランス※所属は当時、以下同)、長谷部誠(ヴォルフスブルク/ドイツ)、本田圭佑(CSKAモスクワ/ロシア)、森本貴幸(カターニャ/イタリア)の4人だけでしたが、現在は代表の半数以上を海外クラブ所属選手がしめています。
それだけではありません。選手たちが所属するクラブも、スケールアップしました。4年前はFC東京の一員だった長友は、イタリアの名門インテル・ミラノで主力を担っています。南アフリカにサポートメンバーのひとりとして帯同した香川は、ドイツ・ブンデスリーガのドルトムントを経てマンチェスター・ユナイテッドへ引き抜かれました。
最新のトピックスとしては、本田のACミラン入りがあります。インテル・ミラノと並ぶイタリアのビッグクラブに、後半戦の巻き返しを託されたのです。
ワールドカップの優勝は、ブラジル、イタリア、ドイツなど8か国しか経験がありません。「優勝する」と口にすることの意味は、本田も長友も分かっていることでしょう。そこに、彼らの決意の深さが読み取れます。〈本物の自信〉を持っているからこそ、選手たちは太く強い野心を抱くのです。
ブラジルW杯の目標に話を戻しましょう。
コロンビア、ギリシャ、コートジボワールと対戦するグループステージに、「歴史的な勝利」はありません。FIFA(国際サッカー連盟)のランキングでは4か国のなかで最下位に甘んじる日本ですが、近年のワールドカップにおける実績は一番です。32か国参加となった98年大会以降で、グループステージを突破したことがあるのは日本だけなのです。
過去の実績だけで「勝てる」と言うつもりはありません。しかし、思い出してください。初出場した1998年のフランス大会で、日本の敗因にあげられたものは何だったのか。「経験不足」です。W杯という大舞台を勝ち抜くのは、特別な経験が必要だと指摘されたものでした。
ザック監督率いるチームは、その「経験」を手にしています。南アフリカ大会でベスト16入りした選手が、ほぼそのままと言っていいぐらいに残っているのですから。2度目のベスト16入りを果たした南アフリカ大会を受けて、ザック監督は「決勝トーナメントで勝つことを求められて就任しました。つまり今回の日本の目標は、ベスト8以上ということになります。
決勝トーナメント1回戦では、イタリア、ウルグアイ、イングランドのいずれかが日本を待ち受けることになるでしょう。すべてワールドカップ優勝経験を持つ強国です。イタリアには昨年6月のコンフェデレーションズカップで、ウルグアイには昨年8のテストマッチで敗れました。
しかし、この高く険しい壁を乗り越えるために、日本はザック監督に4年という時間を託したのです。あくまでもベスト8以上が、ブラジル大会の目標です。
山本昌邦やまもとまさくに
NHKサッカー解説者
1995年のワールドユース日本代表コーチ就任以降10数年に渡って、日本代表の各世代の監督およびコーチを歴任し、名実ともに日本のサッカー界を牽引してきた山本氏。山本氏の指導のもと、成長をとげた選手達は軒…
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