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最近、新聞やニュースで目にするSDGs(持続可能な開発目標)。しかし、自分達とどのように関係するのか、また、具体的にどのように取り組めばよいのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
本コンテンツでは、「SDGsとは?」「SDGsにどのように取り組んでいけばよいのか?」といった多くの方が疑問に思っている事柄に関して有識者にインタビューした内容、また企業や各種団体の取り組み例等、SDGsに関連することをご紹介していきます。
今回は、自治体の方むけに、自治体SDGsの導入書である村上周三氏・遠藤健太郎氏・藤野純一氏・佐藤真久氏・馬奈木俊介氏著 『持続可能な地域社会の実現に向けて SDGsの実践 自治体・地域活性化編』 (事業構想大学院大学出版部) をご紹介させていただきます。
持続可能な地域社会を実現するための手順を示した一冊
本書は、自治体におけるSDGs導入の意義・実践の方法、政策、事例等、自治体向けに持続可能な地域社会を実現するための手順を示した一冊で、これからSDGsを自治体として取り組む予定ではあるが、どのような手順をふめばわからないといった方々に、おすすめの本です。
なぜ自治体はSDGsを導入し実践する必要があるのか
では、なぜ自治体はSDGsを導入し、実践する必要があるのでしょうか?
課題山積の自治体の新たな課題解決ツールとして有効
現在、多くの地域・自治体では、少子高齢化をはじめ生産年齢人口が急減。そのため、地域の基盤となる地域産業の維持や、医療・介護サービスの担い手の確保、交通システムの維持や老朽化するインフラへの対応など課題が山積しています。SDGsの取り組みは、この課題解決に利用でき、地域の課題発掘の手段としても活用することが出来るとされています。
企業の活性化⇒地域の活性化
また、SDGsの取り組みは世界のビジネス界に巨大な経済効果をもたらすと予想されていて、企業活動の活性化が期待されています。 「仕事」があれば「人」が集まり「まち」が活性化。 ビジネス分野における企業の活性化は自治体の活性化につながります。自治体がSDGsを導入し企業と連携をはかることにより、地域活性化につながり、持続可能な地域社会を実現可能とすることが出来るとされています。
他にも、自治体行政にかかわるSDGsの取り組みにおいて国際的に広く蓄積された優れたノウハウへのアクセスや独自性のある取り組みの結果としてローカルアイデンティティの確立、国際的パートナーシップの推進といったメリットがあるとされています。
自治体SDGs導入への基本的な考え方と5つのステップ
では、SDGsをどのように導入していけばよいのでしょうか? 本書には、SDGsを導入するための基本的な考え方とそれを具体化させるための5つのステップが記載されています。
基本的な考え方
- 1.ビジョンのとりまとめ
- ・自身の自治体の2030年のあるべき姿をビジョンとしてとりまとめる
- ・そのビジョンは、SDGsの理念を十分に反映し、社会と価値を共有し、自身の価値を高めることができるものとする
- 2.活動目標の策定
- ・ビジョンを具体化するため、ゴールやターゲットの内容を汲み取った実現可能性の高い独自性のある活動目標を策定する
- 3.実行
- ・多様な活動目標に対して統合的に取り組み、個別最適でなく全体最適を図り、統合によるシナジー効果を生み出し、SDGs導入の実績を挙げる
- 4.進捗管理
- ・ゴール、ターゲットの達成状況をインディケーターを用いて計測し、進捗管理を徹底し、組織運営のガバナンスを高める
基本的な考え方を具体化させるための5つのステップ
- ステップ1:SDGsの理解
- ・SDGsの概要や自治体とSDGsの関係を理解する
- ステップ2.取り組み体制
- ・SDGsに取り組む組織を発足させる
- ステップ3.目標と指標の設定
- ・政策目標の設定
- ・達成目標と指標の設定
- ステップ4.アクションプログラム
- ・具体的なSDGsの取り組みのアクションプログラムの作成と実行
- ステップ5.フォローアップ
- ・SDGsの取り組みの進捗をチェックするためのフォローアップ
自治体SDGsの中核となる目標・指標設定のポイント
では、SDGsを取り入れた目標設定をするのにはどうすればいいのでしょうか?現在国連で採択された2030アジェンダの内容をみても、内容が広く、また、ゴールやターゲットの数も多いため、どのように取り組めばよいか頭をひねってしまう方も多いと思います。
SDGsのローカライズが必要
SDGsは、基本的に国レベルを単位として、グローバルスケールの課題解決のための枠組みとして企画、提案されたものなので、自治体レベルの課題解決の枠組として利用するのにはそぐわない状況が多々あるそうです。そのため、自治体においてSDGsを導入するためにはSDGsの枠組みを地域レベルの課題解決にあった内容への編集すなわちローカライズが必要となります。
余談ですが、この著書出版記念の講演会で村上氏は「ローカライズの際に、コンサルに丸投げをするのではなく、きちんと汗をかいて策定することが大切である」とおっしゃっていました。
優先的政策課題に留意した目標の選択と実現の可能性や効率性に着目する
自治体として全部のゴールやターゲットに取り組む必要はないのですが、経済、社会、環境に留意した全体を俯瞰する視点を失ってはならないそうです。また、実現の可能性や効率性に着目した達成目標の優先順位の設定が重要。
バックキャスティング
2030年における自身のあるべき姿を描きその実現に向けて順を追って目標を設定する必要があるそうです。
SDGsの導入–後づけマッピングだけでは、SDGsを導入したことにはならない
自治体が政策目標、活動目標を決定する際、以下2作業を通じて策定を行う必要があります。自治体ですでに取り組んでいる施策をゴール、ターゲットと関連づける後づけマッピングをしただけでは、SDGsを導入したこととはなりません。各自治体の固有の条件や既存の政策をふまえ、ゴール、ターゲットを各自治体の政策課題に落とし込み、これからの取り組みに取り入れた段階ではじめてSDGsを導入したレベルとなるそうです。
・後づけマッピング⇒これまでの自治体の取り組みをSDGsに関連づける作業
・先づけマッピング⇒これからの取り組みをSDGsに留意して計画する作業
自治体にあった指標を考案する必要がある
国連が示した232の指標はグローバルな視点から提案されたもので、自治体で取り組むローカルな課題について必ずしも利用しやすいものとはなっていないそうです。そのため、ローカルな課題に対応した指標が必要となります。指標選定の考え方は以下となります。
- 1.指標のレビュー
- ・国連が定めた223のグローバル指標のレビューを行い、取り組みの進捗状況に対して補足可能な指標を選定
- 2.利用可能性の検討
- ・使用目的に合致する指標がない場合やデータが整備されていない場合は、グローバル指標の定義を一部読み替えて指標を改変する
- 3.独自の提案
- ・使用目的に沿ったものが存在しない場合は、独自に指標を提案する
まとめ
今回、自治体がSDGsに取り組む理由やメリット、導入の考え方やステップについてご紹介させていただきました。
本書では上記のほかにも、SDGsを実践している都市の例やその都市の取り組み例が他自治体でどのように応用できるか、進捗指標に関しても、グローバルインディケーターをローカル指標として翻訳してあったりと、SDGsに取り組む一連の流れが網羅され、手順書としてとても参考になるものでした。
「SDGsとは17のゴールと169のターゲットからなっている国際目標」ということは最近、少しずつ認知されはじめています。しかし、言葉ばかりが先走り、本質が理解されず、現状の事柄に、これは、ゴール○○とラベル張りをして、SDGsに取り組んでいると勘違いをしてしまう方が多くみられます。ラベルをはっていても、現実の課題は解決しません。
SDGsの内容をそれぞれの国・地域・人にあったものに落とし込み、それぞれの課題を解決するために取り組みを行ってはじめて、持続可能な社会が実現されます。
2019年7月10日に総務省が発表した住民基本台帳に基づく2019年1月1日時点の人口動態調査によると、国内の日本人は1億2477万6364人で、前年から過去最大の43万3239人減少。10年連続でマイナスという結果が報告されました。多くの地域・自治体では、少子高齢化をはじめ生産年齢人口が急減。このままでは、機能を維持できなくなる地方自治体が続出し地方都市の消滅も危ぶまれています。
このような状況を解決するためもそれぞれの自治体・地域社会においては、未来のビジョンをもち、その地域での課題を解決していくため、SDGsにとりくみ、消滅することなく未来においても持続可能な社会を実現することを望みます。
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