私たちは、普段日本語を、何の意識もせずに話している。これが英語になると、途端に言葉ひとつひとつを意識しなければ話せないが、母国語である日本語についてはほとんど自動的に口をついて出てくるはずだ。
しかし、その無意識で使っている言葉こそ、人の人生を決める力がある。特に口癖というやつがくせものだ。言葉はその昔、言霊と言われ、魂が入ったものと思われていた。その「言葉」を私たちはあまりにも無意識に使っていないだろうか。言葉は相手に言っているのと同時に、自分の脳をも洗脳しているのだ。
1.言葉でその人がわかる
おもしろいことに、人が使う接続詞を注意して聞けば、その人の考えや人生観、生きる姿勢などがわかる。投げやり、自分を粗末に扱っている、傲慢、自信がない、人の話を聞いていない…。たとえば次のようだ。
・でも、だけど……(逆説ではじまり)人の話を受け入れていない
・やっぱり、だから…自分の意見を主張したい
・まあ、たぶん……自分に自信がない
また、自分をどう扱っているかも言葉に出る。下の表をご覧いただきたい。
自分を被害者、犠牲者と扱っている人の言葉は、いつも何かに振り回され、そうした自分を卑下し、悲劇のヒロインを演じている。すべてはまわりのせいで、話す内容も過去の話が多い。声のトーンも暗く、笑ってもあきらめ笑いだ。
一方、自己責任を取れる人の言葉は、パワーがあり、自分が回りを動かしているという自信にあふれ、内容も今後の話が多い。言葉もシンプルで迷いがなく、声もはっきりとしていて自信に満ちた笑いがある。
これらは誰でも無意識に感じているはずだ。自分が無意識に使っている言葉で自分が評価されているとは、何と恐ろしいことだろうか。あなたは自分の知らぬところで損をしているかも知れない。
2.言葉で世界一になる
知り合いのご家庭のお嬢さんが、あるピアノコンクールの世界大会で3位に入賞した。そのご家庭では、小さいときから「世界一のピアニストさん」と彼女を呼んでいたそうだ。そういって言葉をかけてあげると、子供にもそのイメージを植え付けられ、自然とそれに近づこうとする。イチロー選手の小学校の作文に「僕はプロ野球の選手になる」と書いてあったのは有名な話だし、今世間で成功している人にこの種の逸話は数知れない。それだけ言葉には力がある。
また子供に話しかけるときの言葉は特に大事だ。たとえば来客にお茶を出すとき「これ、こぼさないようにもってってね」と言うと、子供は「こぼす自分」をイメージするが、「これ、上手にもっていってね。ありがとう」と言うと、「上手にもっていける自分」をイメージする。これでわかるように言葉は何を言うかより、相手に何をイメージさせるかが大事なのだ。
3.内なる声
人は1分間に千語近く、心の中で自分に語りかけている。これを『セルフ・トーク』という。そしてこれは残念なことに、多くの場合、自分を卑下したり、自信をなくしたりする言葉が多い。「そんなことやめとけよ」「友達失うよ」「失敗したらどうするんだ」…。このため、知らないうちに自分が臆病に、マイナス思考になっていることが多い。
僕は意識して、呪文のように「自分はできる。大丈夫。自分はできる」と言い聞かせている。これが習慣になると、だんだん自分を信じられるようになる。自分のこの「内なる声」に耳を澄ませ、それを肯定的なものに変えていこう。
4.自分の言葉を聞いてみる
私も自分の講演をいつもテープにとって聞いているが、その都度気づくことがたくさんある。自分の声を聞くのはあまり気持ちのよいことではないが、これを繰り返していると、無駄がそぎ落とされていくのがわかる。僕は「やっぱり…」が口癖だったし、また笑いながらしゃべったりすると、何をいっているのか聞き取れない。それを直すようにした。
皆さんもせめて一生に一度くらいは、自分の声をテープにとって聞き返してみてはどうだろう?客観的に自分と向き合うと、さまざまなことが見えてくる。言葉は言霊(ことだま)、魂をこめて日本語を話すようにしたいものだ。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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