はじめての不慣れな場面に身をおくとき、つい自分の判断を横に置き、相手の言いなりになってしまうことがありませんか。病院の診察、海外旅行、詐欺事件もしかり…。
人って、そんなとき、普段持ち合わせている直感とか判断力を失ってしまうのでしょう。今回は、僕が病院で感じた、任せっきりにしないことの大事さをお届けします。
●あやくうく医療ミス?
サラリーマン時代には会社が検診をやってくれていたのですが、独立してからは健康診断とはだいぶ離れていたので、一度全部調べておこうと思い、40歳を迎え人間ドックに入りました。それも念入りに1泊2日のコース。検査項目は、身長、体重、聴力、血液、便、尿、心電図、エコー、胸部レントゲン、直腸触診、内視鏡(いわゆる胃カメラ)、肺活量、眼科検診、内科の診察、大腸の内視鏡、オプションで脳のMRIもつけました。
問題は1日目の午前中に起きました。
僕が用意された個室で待機していると、胃カメラをするときの麻酔のアレルギーテストか何かをするというので、1階の診察室に案内され、そこで2種類くらいの注射をちょっとだけ打たれました。そして、そのあと病室に戻って休んでいると、今度は別の看護婦さんがやってきて、「じゃ、ちょっと薬のアレルギー反応を診るのにテストしますね」と言って、また注射器を2つ持ってきたのです。
僕は、(あれっ、なんかさっきのと似てるなあ)と思ったので、
「あの、さっき1階で似たような注射しましたけど」と言ったら、
「えっ、そうですか?ちょっと確認してきます」と言ったきり、その看護婦さんは戻ってきませんでした。
人間ドックというのは多くの科を回るため、複数の看護婦さんがかかわるので、伝達ミスかなにかがあったのかも。仮にその検査の注射を再度されていたとしても、特に大事には至らなかったでしょう。
しかし、僕はこのことで、「ああ、医療ミスってこうして起きるんだなあ」と感じたのです。僕はたまたまおかしいなと気づきましたが、これがお年寄りや自分が何をされているかに無頓着の方だったら、きっと気づかなかったでしょう。
また、こんなこともありました。
翌朝、看護婦さんが病室で採血をしたときのこと。注射針を刺して、血を採り、針を抜き、バンドエイドみたいなものを貼り、「はい、じゃここ軽くおさえててください」と言って、看護婦さんは立ち去ろうとしました。僕の腕はゴムバンドをされたまま。
はじめは「これって何かの意味があるんだろうな」と思ったのですが、ちょっと心配になったので、勇気をふりしぼって看護婦さんの背中に向かって声を投げかけました。
「あの、このゴムはこのまんまで?」すると、平然と「ああ、すいません」というのです。そうです、看護婦さんも忘れるのです。しかも容易に。相手が医者だ、看護士さんだ、といって、すべてを信じてはいけませんね。
私たちには、次のような心理が働きます。
「相手はプロだから、間違いをするはずはない」(過信)
「変に質問したら、仕事の邪魔になるかもしれないから悪い」(遠慮)
でも、いまの世の中、これまで確実、大丈夫と思ってきた権威や信用がガラガラと音をたてて崩れていっている時代。監査法人の不正、耐震偽装問題などを見れば明らかです。なので、もうこうした過信や遠慮は禁物。
自分の身を守るためには、たとえ自分が無知な分野でも相手を100%信用せず、自分がもっているコモンセンス(常識)と直感を働かせて、「自分で判断する」ことが大事だと思います。
そのヒントは、少しのずうずうしさかも。
たとえば、僕も人間ドックの検査結果について医者の説明を受けていたとき、医者がいう言葉を理解できませんでした。
医者「えーと、この値はプラスマイナスなので問題ないですから…」
僕「はっ?そのプラスマイナスって何ですか?」
検査レポートには、( )の中に+、-の記号が。そんなの素人には意味不明です。お医者さんにとっては当たり前のことかもしれないけど…。分かるまで食い下がって聞く僕に、その先生、確かに少し迷惑そうでしたが(苦笑)。
最後に余談ですが、皆さん、ぜひ人間ドックをたまには受けてください。また、半日や1日で終わる通常コースで「異常なし」って言われて、安心しないでください。僕は、何も知らずに検査項目にたまたま入っていた「糖負荷検査※」というのをやったお陰で、「境界型糖尿病」の疑いありと言われてしまいました。空腹時の血糖値は正常なので、普通の検査では発見できなかったようです。甘いものがお好きな方や運動不足の方、ご注意を。
<今月のレッスン:任せっきりにしないこと。ちょっとのずうずうしさが自分を守る>
※糖負荷検査:甘いブドウ糖ジュース(サイダーみたいなの)を飲み、その後の血糖値の変化を計る検査。60分後、90分後、120分後と3回くらい採血をするので、時間も手間もかかる。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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