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2008年08月15日

経営全般面からのメリット(1)

前2回では、ワーク・ライフバランスを促進する際に考えられる<人事労務面のメリット>をお話させていただきました。今月からは、さらに大きな視点、すなわち<経営全般面>からのメリットをお伝えいたします。ワーク・ライフバランスは、企業組織を強くし、持続的な成長をもたらすことが最終的な目標ですから、経営面のメリットもしっかりとご理解いただくことが重要です。

■労働力不足への準備
コラム第2回でもお伝えいたしましたように、これから急速に進む日本の少子高齢化は、各企業にとって極めて大きな影響をもたらします。「2007年問題」によって団塊世代が大量に退職し、労働人口は現在の状況のままでは2020年には2004年比で600万人減となり、今後、女性や高齢者の参加が進んだと仮定しても、労働力人口は今よりも200万人以上減少することが見込まれています。さらに、団塊世代が要介護者年齢に突入することで必然的に多くのビジネスマンが介護に携わることになります。つまり、時間の制約なく働ける社員、というのは例外的な存在となり、労働力の質そのものが今とは大幅に変わることになります。

この「もうひとつの2007年問題」に備え、今のうちから男女を問わず若手を積極的に採用し、時間の制約があっても働き続けられる環境を整備することが、誰もが休業や短時間勤務を取りやすい風土改革につながります。そして、それこそがこれから5年後、10年後も利益を上げ続ける企業であるために、不可欠な経営戦略といえるでしょう。

■人事コストの削減
ワーク・ライフバランス施策は「コストがかかる」と捉えられることが多いのですが、実際には、働き方そのものを見直すことが労働生産性を高めることにつながり、社員に支払う時間外手当をはじめ、光熱費などの諸費用を将来に渡って削減することができます。また、例えば育児休業復帰後の社員の定着率を向上させることにより、退職によってそれまでかけてきた採用費・育成費を無駄にすることなく、視野の広がった新たな戦力として活用することができます。このようにコストやロスを削減することで、より力を入れたい事業やニーズに即した、さらなるワーク・ライフバランス施策の実現などに資金を回すことも可能となり、ひいては会社の競争力を高めることにつながります。

次回は、企業の成長にとって今後不可欠になる「労働生産性の向上」や、「企業体質」、「企業ブランド」といった観点からのメリットをご紹介いたします。

小室淑恵

小室淑恵

小室淑恵こむろよしえ

株式会社ワークライフバランス代表取締役社長

ワーク・ライフバランスコンサルティングを900社以上に提供している。 クライアント企業では、労働時間の削減や有給取得率の向上だけでなく、業績が向上し、社員満足度の向上や、自己研鑽の増加、企業内出生率…

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