今年のテーマは、「ものの見方」についてです。
私たちの日常では、つねにたくさんの出来事や問題が起きます。仕事でのトラブルや上司との人間関係、自信を失うような出来事…それぞれに対し、ストレスを感じたり、落胆したり、失望したり。でもそれらは受け止め方ひとつで、チャンスにもやる気の源にも変えることができるのです。
このコラムでは、「見方を変える」というテクニックを使って、ビジネスでの課題解決やプライベートでも活かせるヒントをお伝えしていきたいと思います。
ものの見方とは
さて、ものの見方とは、ほかの言葉で置き換えると物事のとらえ方や固定観念。いわば目の前の出来事にどう意味をつけるか、ということです。たとえば私たちは、熱いものに触ると「熱い!」と手をひっこめますが、これは熱い、という刺激に対する反応です。ものの見方もこれと同じで、あることが起きると、即座に自動的に(ここが大事!)そこに解釈をつけてしまうのです。
ほぼ自動的に!です。ここは考える余地を挟みません。では何がこの自動反応を決めているかというと、それはこれまでの自分です。注意すべきは、いまの自分ではなく、過去の自分ということなのです。親、育った家庭環境、影響を受けた先生、先輩、尊敬する上司、仲間。または世の中の常識や慣習。これらを通して、好む好まざるを得ず、ほぼ知らずのうちに刷りこまれた仮の価値観が、自分のものの見方なのです。でも、物事の解釈はじつは自分で選ぶことができます。自分から能動的に、仕事のミスをプラスの出来事にしてもいいのです。このように、どんな出来事でも、自分にプラスになるようにとらえなおそう、というのが、「ものの見方」の一番の目的なのです。
解釈はいつも一通りではない
お正月によくおみくじを引かれる方も多いでしょう。もし凶を引いてしまったときにどう考えますか。ある人は、今年は縁起が悪いから、新しいことに手を出すのはやめておこうとおとなしくしているでしょう。でもなかには「よし、ここで悪い運は使い果たしたから、あとは上向くばかりだ」と、積極的に動いていく人もいます。講演会場でこのことを聞くと、毎回ほぼ3割くらいの人は、こうしたとらえ方をしています。一事が万事。目の前に起きるすべての出来事は、それを受け止める人の見方(解釈)にかかっているのです。
ドイツの有名な哲学者、ニーチェの言葉にもあります。
「事実などない。あるのは解釈だけだ」
いかがでしょうか。ものの見方の大切さに気づいていただけましたか。次回は、ものの見方の参考となる枠組み、観点メガネについてお話します。どうぞお楽しみに。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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