女性活躍推進に関するご相談を受ける際、どの程度進んでいるのか、どこを目指しているのかを必ず確認します。まず、どこを目指しているのかという点では、〇年度までに女性管理職比率を〇%というように数値的な目標を掲げられることが多いようです。その一方で、女性が活躍している「状態」がイメージしづらい会社も多いのではないでしょうか。
同等の役職に男性だけでなく、女性が一定数いることを目指すということは大事ですが、そもそも現段階で、現場レベルで女性が活躍できていない状態なら、理想の状態に近づけていません。理想に近づくために、今すぐにできることは何があるでしょうか。
私は、企業訪問する際に、お茶出しについてひそかにチェックさせていただいているのですが、実は、そこに今すぐ理想に近づけるヒントが隠されています。
ここで、皆様に、質問です。
皆さんの会社はお客様に
①お茶を出す
②お茶を出さない
どちらでしょうか。最近は、②の出さないケースも増えていますね。
では、もうひとつ質問です。①を選んだ方、お茶を出すのは
①接客する本人
②女性
③新人
さて、どなたでしょう。
私が企業訪問した際の印象は①か②が半々くらいです。ちなみに②が当たり前になっている会社は、こんな理由があげられるのではないでしょうか。
「女性がお茶を入れた方が美味しいから」
「女性の仕事だから」
とくに、ご年配の方は、女性がお茶を入れた方が美味しいからを理由にあげる傾向にあるかもしれません。実際、私の講演会などで、女性がお茶出しをするのか、お聞きすると、管理職や経営者の方が「だってその方がお茶は美味しいでしょ。男性が入れたお茶なんて美味しくないよー」と満面の笑み!でおっしゃります。その方がそう思うのは、悪気はないですし、悪い意味でおっしゃっているわけではないのはわかります。
しかし、現場の女性はというと、お客様が来るたびに、やっている仕事の手を止めて、お茶を出しに行かなくてはならないといいます。それが、秘書やアシスタント業務の中の一環であれば、一理あるのかもしれませんが、男性と同等の立場と言われているのになぜ?と疑問に思う女性も多いのです。
さて、話を戻しますと、私がお客様先にお伺いする際に、女性がお茶を出す役割を当たり前のように担っている会社は、女性活躍推進がだいぶ遅れているという認識からサポートをスタートします。それは、女性=アシスタント職である、つまり、性別で仕事の内容や役割が分かれている会社である、または、男女同等の仕事を担っているのに、お茶を出すのは女性という風土であると思うからです。
これは、男性側に限った偏見ではなく、女性側も「私は女性なんだからお茶を出すのが当然」と思っている可能性があります。つまり、男性の意識だけでなく、女性本人の意識も課題となってきます。
これは、お茶出しに限ったことではありません。電話を取るのも同じくです。企業研修で、度々女性側から上がってくるのが、「男性が電話をとらない」という声。電話が鳴っていて、手が空いているのに、取ろうともしないんです!と。
やはりこの理由を男性側にお伺いすると、「電話を掛けてきた人も女性が出てくれた方が嬉しいでしょう」とおっしゃるのです。
これではいつまで経っても女性活躍は進みません。一昔前、ほとんどの女性は内勤、アシスタント、事務職という役割で仕事内容も応接室の掃除、みんなの机を出社したら拭く、社員のお茶を出す、電話を取る、お客様のお茶を出す役割を担っていました。しかし、時代とともにこの職業の役割は変化していっていますし、女性だから事務職、性別によって職種が異なるというのも実は違います。
また、男性と同等の役割を女性が担っているはずなのに、なぜか電話やお茶出しは女性がやるという風習も違います。
皆さんの会社はいかがですか?
目指す目標の前に目の前のすぐにできることから見直してみてはいかがでしょうか。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
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