さて、前回で見方を変える大切さはわかっていただけたと思います。でもどうやって変えればいいのかで行きづまる人がほとんどなのです。そこでぜひ参考にしていただきたいのが、観点メガネという考え方です。観点メガネとは、ある特定の切り口からものごとをみえやすくするための見方のフィルター。心の中でこのメガネをかけることで、特定の切り口が見えやすくなるのです。
代表的なものは、次の5つです。
- 【観点メガネ】
- ・価値メガネ
- ・逆転メガネ
- ・環境メガネ
- ・タイムメガネ
- ・立場メガネ
価値メガネ
価値メガネは、いままでなかったものや活動に価値を見出すメガネです。たとえば、ふだん無意識で通勤電車に1時間揺られている時間、何も意識をしないと、ただ窮屈で苦痛以外のなにものでもないですが、その1時間を英語学習の時間と決め、1か月で1冊のテキストを終えようとすれば、その1時間は貴重な学習の時間となります。また階段の上り下りは、できれば避けたいと思う人が多いですが、ある市役所の階段には、一段ごとにマイナス〇カロリーとの表示が貼ってあります。これがあることで、「ちょっと昼を食べすぎたから、階段を上って少しはカロリーを消費しなきゃ」という発想にもなるでしょう。これも階段の上り下りという無価値な活動を、カロリー消費マシンという有価値なツールに変えている良い事例です。
もちろん、ビジネスでもこの価値メガネが使えます。徳島県の株式会社いろどりがいい事例です。かの有名な葉っぱビジネスの会社です。こちらは、徳島県上勝村という高齢化、過疎化で悩んでいた村の職員が、村の活性化のため、なにかいいアイデアはないかと考えていたところ、都会のある料亭で、懐石料理のお皿にのった添え物の葉っぱを、横の席のOLさんが丁寧にハンカチに包んで持って帰るのをみて「これだ!」とひらめいたそうです。その葉っぱなら、村にたくさんあるじゃないかと。こうして、全国に流通ルートを開拓し、毎日ipadに注文が流れてくるのを、村のおばあちゃんたちがみて、山に収穫に行って出荷するという、素晴らしいビジネスになっています。これも、まったく価値を見出していなかった葉っぱに、価値を見出した価値メガネの効果だったと思います。
これらの事例のように、物事になにか付加価値をつけたい、と思ったときは、ぜひ心のなかで価値メガネをかけてみましょう。すると、「この物や行動に、どうしたら価値をつけられるだろうか」という意識が働き、漠然と考えるより、はるかに価値を見出しやすくなるはずです。
次回は、観点メガネのふたつめ、逆転メガネについてお話します。どうぞお楽しみに。
退屈な通勤時間→資格習得時間
苦痛な階段の上り下り→カロリー消費マシン
ただ山に生えている葉っぱ→料理の添え物としての商品 など
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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