『残念な人の仕事の中身』(大和書房)という拙訳本が売れています。これは、優秀なのに出世できない、いわゆる「残念な人」の12の特徴がケーススタディ風に紹介されているのですが、それらはたとえば、”一貫性がない”、”役割の不理解”、”自己チュー”など、上司から見た減点ポイントが書かれています。
この本によれば、「自己主張が強すぎるのはよくない」となるのですが、僕は逆に若いころ、自己主張をしなさすぎて「残念な人」だったことがあります。
僕は長男の宿命か、なぜかいつも「いい人」の枠にとらわれていて、若いときも、エゴを通して調和を乱すようなことをしてはいけないと思っていました。だから、たとえ自分が配属された部署が希望通りでなくても、「いまは経験もないから、まずはきちんと仕事をこなしていれば、上司がみていてくれるはずだ」、という、ある意味受身的な姿勢で過ごしていました。
一方、同期の仲間たちは、当時の僕から見ると「わがまま」「ずるい」。自分の希望が通らないなら会社を辞めるとごねて前例のない異動が認められたり、うまく社内で力のあるパートナーに顔を売ってプロジェクトに入れてもらったり。規律やルールなどあったものではありません。でも、結果をみると、彼らは僕より先に昇進し、海外赴任のチャンスをつかみ、希望する部署へ異動していました。
もちろん、会社によって文化が違いますから、自分のわがままを通せばいいということではなく、発言には責任も伴います。ただ、僕のいたコンサルティング会社は皆上昇志向が強く、もっと「自分はどうしてもこれをやりたい」という主張をしても良かったのかもしれないなと、今になって思います。
このアドバイスは万人にはあてはまりませんが、もし、これを読んでいる方で、自分は「いい人」タイプで、自分の希望を言うことがエゴだと思っている人がいるなら、ぜひもっと「わがまま」になってください。僕のようなタイプの人は、わがままぐらいでちょうどいいのです。そして、それがいかにも会社やチームのためになるような味付けを加えれば言うことなしですね。
「自分みたいなのが、やりたいことを主張してもいいんだろうか」
「それは前例もないし、チームの調和を乱すのでは」
そう思って自分を抑えていたら、ずうずうしい人たちに、チャンスを持っていかれてしまい、それこそ「残念な人」になってしまいます。そうならないためにも、「いい人」なあなた。もっと声をあげていいんですよ。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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