【対談のお相手】
タツ・オザワ(肖像写真家)
大学卒業後、都市銀行に勤務。留学先のアメリカで一枚の写真と出逢い、肖像写真家として天職を生きる決断。35歳で米写真大学に留学し本格的に肖像写真に取組む。38歳で肖像学部を首席卒業後、世界的な米ポートレート・スタジオに採用され、各界著名人の肖像を制作。7年間のアメリカ写真留学を経て帰国。日本を拠点に「21世紀の肖像」に取組む。
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川村: 今日は肖像写真家のタツ・オザワさんのオフィスへお伺いしています。 タツさんには僕の講演用の写真も撮っていただいたりしておりますが、タツさんに撮っていただいた写真には、とても不思議な魅力があります。今日はそうしたことも含め、いろいろお聞きしていきたいと思います。
タツさんは、実は元々銀行員だったんですよね。写真家と銀行員ではまったく違う世界だと思うのですが、なぜ肖像写真家になられたのでしょうか。
タツ: 私は国際的な仕事がしたいということをずっと思っていたので、銀行に就職した後内部試験を受けまして、アメリカへ留学しました。アメリカでは法律事務所で研修をしていたのですが、アメリカの法律事務所というのは日本と違ってまるでミュージアムのように絵画や写真が飾ってあったりすることが多いんですよ。その事務所にたまたまアンセル・アダムスという人の写真が飾ってあったんです。それを見て、とても驚いたんですね。
川村: それは素晴らしいという感動ということですか?それとも衝撃を受けたということですか?
タツ: 両方でしょうね。私は小さいころからアートには触れる機会が多かったので、アートに対して自分なりの考え方というものを持っていたんですよ。そういう私にとって写真はそのときまで絵にかなわないと思っていた。でも、その写真は違いましたね。風景写真なんですけど、本当に素晴らしかった!イケてたんですよ(笑) 。
それでそのとき自分で最新のオートフォーカスのカメラを持っていたものですから、自分の最新のカメラで撮ったらもっといい写真が撮れるんじゃないかと思って、公園に撮りに行きました。でもまったく違う写真になったんですよ。 そのとき、写真はカメラの性能じゃない。撮る人によって違うんだなということがわかったんです。それで、アンセル・アダムスの写真集や本を買い集めて勉強したんですよ。でも何がどう違うのか、はっきりとはわからなかった。
川村: 何だかタツさんて意外に形から入るタイプなんですね!(笑)
タツ: まあ・・・悔しかったんでしょうね(笑) 。
そしてその違いがわからないまま帰国して、日本でも法律の仕事をするんだろうと思っていると、今度はマクロ経済に関する仕事をしなければならなくなった。また一から勉強のし直しですから、そのまま写真のことは忘れていたんですよ。
そんなとき娘が生まれることになって、昔見て覚えていた「人間零歳」(吉岡専造 二見書房)という写真集のことを思い出したんですよ。人間は零歳のときが一番変化をするという観点に立って、零歳のこどもを毎日一枚ずつ写真に撮っていった写真集なんです。自分もそれをやってみようと思って、レンズとかいろいろそろえました。それで生まれる前から撮り始めて。ここでようやっと写真のことを思い出すわけですよ(笑)。それと同時に人物写真の面白さに気づいたんです。そのとき、肖像写真家っていいな、とひらめきました。空を眺めていたら突然思ったんですけどね(笑)。
川村: そんなに突然決められてしまうものなんですか?娘さんも生まれるというタイミングで、勇気の要る決断ですよね。そこまで自分の可能性を信じきれるのはなぜなんでしょうか。
タツ:本当にワクワクするものをやれば絶対にうまくいく、という確信があったんですよね。 今までも確かにワクワクすることはあったんですが、今回のものはそのワクワク度が突き抜けていたんです。だから確信できたんですよ。
川村: そうなんですか。何か過去にそういう確信できるような体験があったんですか?
タツ: そうですね。あったかもしれないなあ・・・そんなに大きいものではないでしょうけど、小さいものはいつくかあったんでしょうね。
川村: それでもタツさんにとって、写真家になろうというのは人生で一番の確信と決心だったわけですね。
タツ: それはそうですよ!(笑)小学生の頃までは画家になろうと思っていたんですよ。でも自分の自画像を描いて気づいたんです。10歳の自分には絵で人間の内面が描けないな、ということに。
川村: 小学生にしてですか!ずいぶん深いところまで考えていらしたんですね。
タツ: そうですよね(笑)絵もそうですけど、写真は私には自己実現なんですよ。
川村: 写真でなら、人の内面を映し出せると感じたから写真家という道を選ばれたということもあるんですね。
タツさんは写真を撮るとき、どんなことを考えていらっしゃるのですか?
タツ: 私は写真を撮るときは人の内面を見ています。なぜなら顔は人の内面を一番表していると思えるからです。 合気道を習ったときがあって、その先生である名人作りの名人と呼ばれる方もおっしゃっているんですが、「心が体を動かす」というんですね。だから写真を撮るとき、いろいろとヒアリングするんですよ。そのときの心の動きが出た瞬間を撮るんです。
川村: そういえば僕も撮っていただいた時に、いろいろお話しました。川村さんはどうなりたいんですか、て聞いてくださった。僕の場合お話しながら出てきたキーワードは「信頼」「安心」というものでした。話ながら自分のなりたいイメージが言葉になったんですよね。
タツ: 写真には、インパクトがあるでしょう。だからそれをどう活用するかなんですよ。私は写真を生活をよくする自己実現の道具として使って欲しいと思っているんですよ。「夢を実現する魔法の鏡」というか。
私も肖像写真家になろうと思ったときアメリカの写真の学校へいったんですよ。厳しい学校で、2ヶ月くらいでテストがやってくるんです。2回不合格になるともう退学になってしまう。そのときその時に結果を出さないといけない。 僕はそのためにどうしていたかというと、自分の顔写真を貼ってそういう自分になりきろうとすることで、様々なアイディアを生み出していました。それもただの顔写真ではなく、自分のなりたいイメージに合わせた写真です。
例えば、クリエイティブな自分になりたいときはクリエイティブに見えるメークもして、クリエイティブな構図で撮ります。それを毎日見ることで自分の中にクリエイティブなイメージを植えつけられるように。クリエイティブな写真を撮ろうとしたときは、自分もクリエイティブな自分に変わらないとだめなんですよ。
いつもの自分は氷山の一角。海の下には自分も知らない自分が隠れている。いろんな自分を発見するにも写真によって発見することができますよね。自分ではどういう表情が出ているのかわからないけれど、写真がそれを気づかせてくれるんだと思います。
川村:それで、もののみかたを変えるということを僕は、言葉を使って伝えることしか出来ないけれど、タツさんは写真というビジュアルでできるというのは本当にすごいことだと思います! 言葉は理解する作業が必要になるけれど、写真はパッと見るだけで伝わる。いえ、感じるんですね。
タツ: 普通の物事も写真の話しと一緒で、起きていることはひとつ。それにポジティブな意味づけをすることですよね。
川村: まさに「もののみかたを変える」ってことですよね。
タツ: 21世紀はポジティブな時代だと思うんですよ。自分を高めるにはポジティブなイメージの写真を撮る!実際に私の写真でセルフイメージを上げて、トップセールスになった方など成功者がたくさんいますよ。
川村: 言葉で「もののみかたを変える」といい続けるのもいいですが、そういう視点で自分のセルフフォトを撮ってみてその写真に未来に実現されていたらいいな、という理想の自分の姿を書きとめておくなんていいですね。例えば、社長になっている、本を出しているとか。考えると本当に夢が叶うような自信が湧きますね。これが、セルフイメージが上がっているということですよね。
タツ: そうですね。毎年写真を変えて、セルフイメージも次のステージに上げていくとどんどん成功すると思いますよ。
川村: じゃあ、来年は僕もまたお願いしよう(笑)。
今日は写真の持つ隠れた力をお伺いすることができ、驚きと気づきを得ることが出来ました。タツさん本当にありがとうございました。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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