世界経済フォーラム(WEF)による男女格差の度合いを示す「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」2019年版が昨年12月16日に発表されました。これは、経済・教育・保健・政治の4分野14項目のデータを元にして、各国の男女の格差を分析した指数です。日本は、調査対象となった153カ国中、121位で、毎年順位を落としている状況です。
そんな状況の中で、各企業では様々な女性活躍推進への取組みを行っています。
数年にわたり、女性向け研修や、女性管理職登用の数値目標設定とそれに向けた研修を実施している企業も多いですが、ここに来て、ダイバーシティ推進担当や人事担当者は、悩んでいるのを感じます。
継続して実施してきたが、これはいつまですべきなのか・・・。
働き方改革は進んでいるものの、女性活躍推進は進んでいないという企業が増えているのです。その理由は、女性活躍推進を実施している最中、働き方改革の課題が出てきて、一旦女性活躍推進はストップし、働き方改革にシフトしてしまう。あるいは、女性のみを対象にしたものではなく、ダイバーシティという観点で、外国籍、障がい者も併せた推進に切り替えたという企業もありました。
では、働き方改革で解決したことは、というと・・・
まず、ライフイベントとの両立がしやすくなったという企業がでてきたことです。具体的に言うと、サテライトオフィスができたり、テレワークが可能になったり、また、フレックスタイム制など、柔軟な時間での働き方が推進され、育児や介護をしながらも働き続けやすくなったということです。
その一方で、女性リーダーは増えたのかというと、微増だとおっしゃる企業が多く、働きやすくはなったものの、本来の女性活躍推進が置き去りになっている様子がうかがえました。
そんな課題が渦巻く中で、近頃度々、担当者からお伺いするのが、「最近、女性活躍推進において、男性からのクレームが多いんですよ」というお悩みです。
それは、逆差別ではないかという意見だそうです。
確かに数年にわたって女性のみを対象とした研修を実施したり、女性リーダーを増やすために、女性にチャンスを与えたりという取り組みをしてきましたが、男性からすると、女性だけに下駄を履かせているように思えるのかもしれません。
はっきりと、「下駄を履かせてまで女性を上にあげる必要があるの??」とおっしゃる男性もいらっしゃいます。
下駄を履かせて、というのは、どういう意味でしょうか。
「経験やスキルが足りないのに、チャンスを与えている?」こういう意味合いをおっしゃっているのかもしれません。
日本の状況を振り返ってみると、女性には、経験を積ませてもらえるチャンスが少なかった。そのため、男性と同等にスキルがついていないという事実がありました。
かつて、男女では経験やスキルを積むための差別がありました。
大事な仕事は、上司が男性に振りがち。
女性には責任ある仕事は難しいんじゃないかと配慮して、男性に任せる。
恐れずに言えば、つまりそれは女性差別です。
このような繰り返しが、女性の経験やスキル向上の弊害になっていたことは間違いありません。もちろん、女性側にも問題はありますが、この差を埋めるのが、今の課題です。
だから、早く経験やスキルを身につけさせる必要があるのです。それなのに、現場ではまだ、女性に仕事を任せること、管理職としての後押し、女性への評価が遅れているケースが少なくありません。
女性活躍推進は、経営的な課題です。明らかに日本は、ますます世界から置いてきぼりです。もっと柔軟で、グローバルに評価される組織になるためにも、担当者は、経営側の意識を強く持ち、現場のネガティブな声にブレないことも大事です。
ゆるゆると女性活躍推進を実施してきた企業は、少しずつ変化しているものの、大きな革新にはなっていないかもしれません。社員からすると、結果が出づらいことをずるずるとやっている、女性だけ優遇されているように感じる、としか印象に残っていない人も残念ながらいるのかもしれません。
もう一度すべきこと、目的を見直し、一気に実行に移す1年にしてみてはどうでしょう。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
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