<ものの見方コンサルタント>として、講演、執筆など幅広い活動をされている川村さん。今回は特別編として、11月26日に刊行された新刊『答えはいつも、自分の枠の外にある!-ものの見方を一瞬で変えるドリル31』(ダイヤモンド社)の新刊出版記念インタビューをさせて頂きました。多くの企業様、団体様からもご好評頂いている、同テーマの研修プログラムについてもお話を伺いました。
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■頭と感覚、両方で「わかる!」 ドリル式の新刊
「ものの見方」を変えるというテーマは、私自身のテーマでもあります。初めて翻訳での出版が実現したときも、「ものの見方」を変えることでうまくいった、という成功体験がありました。「ものの見方」とは、目の前に起きている事実を別の角度から見ることで「新しい価値や意味」を発見するということだと私は定義しています。起きた事実はひとつなのに、人は自分の考え方ひとつでその事実をプラスにもマイナスにも変えてしまいます。逆に言えば、自分次第で目の前の事実をプラスに変えることができるということなんですね。こうしたことを是非、ゲーム感覚で楽しみながら学べるスキルとしてみなさんにお伝えしたいと思い、今回の本の出版となりました。
■「ものの見方」で解決できること
先ほど「自分の考え方で事実に意味をつけている」とお話ししましたが、それは自分の頭で考える、<自分のフレーム>を通して事実を見るということです。ビジネスの場では、感情やそのときの立場などに左右されず事実は事実として把握することが良し、とされています。ですが私はあえて、”自分のフィルター”を通すことを提案しています。自分にとって、ピンチがチャンスになるような”フィルター”をかければ、起こす行動は変わってくる。そうすると結果もまた変わってくるんです。見方が変わると、行動が変わる。行動が変わると結果が変わる。良い結果を出すには、まずは良い(プラスの)ものの見方をしていく必要があると思うんです。
もちろん、良いものの見方というのは、自分に都合のいいように解釈するというのではありません。それは現実から逃げる口実にしているだけです。あくまでも自分の気持ちや行動をプラスに向けるように、また新しい価値や意味が生まれるように”フィルター”をかけなければいけません。
以前、海外から工場などで使われる、バルブの販売をしている企業様で研修をしたことがあります。その時もこの「ものの見方」のお話をさせていただいたのですが、そのときのケーススタディで、ある営業の方が「ものの見方」としてとても素晴らしい問題の解決をしてくださいました。ちょっといっしょに考えてみてください。
【問題】
海外で作っている商品のバルブが、作業の遅れで納期にだいぶ間に合わない。工場に急ぐようお願いしても仕上がる納期は変えられないという。お客様にどうご説明し、納得してもらうか。
どうですか?先ほどの彼の答えは、「この製品は他社ではできない高い品質であり、しかも全世界から『どうしてもこれがほしい』という注文がくるので、手に入るだけラッキーなものです。なので、期待して待っていてください」というものでした。
このトークが実際に通用するかはその遅れ具合にもよるでしょうが(笑)、納期が間に合わないというマイナスを見事にプラスに転換しています。遅れを期待していて待っていてほしいとは、なんともウィットの効いたトークではありませんか!
このように問題が起きたとき、意図的にプラスのものの見方をすることで、問題解決の糸口を見つけることが可能になります。本ではこれを「ものの見方スイッチ」と呼び、新しい見方を見つける鍵をご提案しています。
■ものの見方の活用
「ものの見方」を変えることは、いつでも誰でも使っていただけるスキルです。自分の考え方のクセを知り、そのクセによってできた自分の枠を外すということは、どんな人でも実践できます。
本にも書きましたが、
・窮地脱出
・自信回復
・逆転発想
などを必要とする場面は、「ものの見方」が力を発揮します。目の前に問題が生じたとき、その事実に「ものの見方スイッチ」を見つけて、スイッチを押してみてください。今までは見えなかったものが目の前に現れるはずです。
ひとつここで「ものの見方」によって生まれたアイディア商品の話しをしましょう。それは「ほこりトリ」というパソコンやキーボードを掃除する道具です。これはシリコーンゴムでできていて、ディスプレイをなでるように拭くと静電気でほこりがくっついてきます。おかげでディスプレイはきれいになるわけです。
でもこの「ほこりトリ」、本来は印鑑を押す際のゴムの下敷きだったのです。ゴムの下敷きは静電気が発生しやすく、拭いても拭いても埃がついてしまいます。メーカーの担当者はこの状況に大変困りっていました。印鑑の下敷きには埃がついては使いにくいからです。そんなとき、「ものの見方スイッチ」の登場です。どうしても埃がつかないようにできないのなら、埃がつくことを「売り」にした商品にすればいい!、そう考えたのでね。この「ほこりトリ」は、最初は印鑑の下敷きですが、パソコンディスプレイの埃とりとしての機能も発見されたことで、ヒット商品となりました。
▲<逆転の発想>でヒット商品となった「ほこりとり」
商品開発のケースをご紹介しましたが、「ものの見方」は人間関係のシーンでも同じように活用できます。職場での上司と部下のコミュニケーション、チーム間でのメンバーコミュニケーション、あの人はダメだと思っていても、少し「ものの見方」を変えてみると相手に対するアプローチが変わってきます。その人への見方を少し変えれば、接し方も変わり、そこから生まれる関係も変わっていくのです。あきらめないで、まずは「ものの見方」を変えようという意識を持って、目の前の人間関係を観察してほしいですね。
■より結果に結びつく研修プログラムに
新刊『答えはいつも自分の枠の外にある!-ものの見方が一瞬で変わるドリル31』(ダイヤモンド社)のドリル式が好評だったので、「ものの見方」の研修プログラムも内容をリニューアルしました。このテーマの研修は、これまでは「発想転換を応用して、様々なことを考え直してみよう」という切り口でした
。今回はそこからさらに一方踏み込み、企業の問題や目標を達成するための課題に「ものの見方スイッチ」を取り入れ、確実に結果を出せる方法を導き出すという内容になっています。
本のタイトルにもなっていますが、ものの見方を変えるためには「自分の枠を外すこと」が重要です。枠を飛び出すことができなければ、見方を変えたり、新たな方法論を生み出すことはできません。実際に研修を行ってみると、みなさんは案外、枠を飛び出すことができないと感じ、今までのプログラムは枠の外し方に重点を置いていました。そこから1歩進み、「どういうように実際の業務に活用するか」と考えると、新た枠が出現してしまうんですね。これは”できない”という意識の壁が高いためです。
そこで、今回のプログラムでは若手の方や、ある程度できる・できないという判断がつく管理職の方なども一緒に参加していただいて、出たアイディアや解決方法を実現できる案にしていくというワークを入れたりしています。私自身が少し、「ものの見方」の変え方をアドバイスするだけで、ぽっといい案が出てくることもあります。
せっかく「ものの見方」を変えて、解決方法を探っても実現が難しいとなれば、人間の心理として継続するのは難しいですよね。短い時間ではありますが、解決方法をみなさんと一緒に編み出すということも研修では目的の一つとしています。
■見方が人生を決める
人は、苦しいときやうまくいかないとき、どうしても周りのせいにしてしまいがちです。経験が豊富な人ほど、その経験に引っ張られ「ものの見方」が偏ってしまう傾向があります。何かにぶつかったとき、今自分の見ている事実の意味が本当にそれだけしかないのかを立ち止まって考えてほしいと思います。もうだめだ、と思っていたことが「ものの見方」を変えたことでピンチをチャンスに変える方法が見つかり、新しい道が開けます。「ものの見方」は人生を良い方向へ変えていきます。
モチベーションが上がらない、部下の指導に悩んでいる、少しでもこの研修を通じてそんな方々のお手伝いができればと思います。
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川村さん、ありがとうございました。
(聞き手;株式会社ペルソン 馬場真由香)
【川村透氏 新刊】
『答えはいつも自分の枠の外にある!-ものの見方が一瞬で変わるドリル31』(ダイヤモンド社)
この31のドリルは、ただのクイズではありません。
これこそ、ふだんのあなたの見方、思考パターンの縮図なのです。
楽しみながらドリルをこなしていくことで、自分の「思い込み」に気づき、それを修正していくことができます。思い込みのメガネをはずせばココロは軽くなり、悩まされ続けてきた問題もたちまち解決します。
ケーススタディもあり、ビジネスシーンでも活用していただけるような一冊となっています。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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