なぜ、いまコラボレーションが盛んなのでしょうか。それにはいくつか理由があります。
一つ目は、新しいものを生み出せるから。一人の頭、同じ部署、同じ社内でいくら考えても、発想の限界はあります。しかし、そこにまったく違う業種や外部の人がからむことで、新しい切り口が生まれるのです。コラボというと、かつては音楽や芸術の世界ではよくありましたが、最近ではビジネスの世界でも「A社とB社のコラボ商品」というのをよく目にします。異文化がぶつかりあうことによるアウトプットの効果を、意図的に使おうとしているのですね。
二つ目は、これが一番大きいかもしれませんが、社会が成熟し、相乗効果を考えるようになったことです。これまでは、各企業は自分だけの利益を考えていましたが、そのやり方ではうまくいかなくなってきたのが21世紀です。最近では、各企業がお互いに手を組み、持っているリソースを提供しあって、新しいサービスや商品を作り、利益が出たところでそれを山分けする、という考え方が定着してきました。20世紀には考えられなかったことですね。
そして三つ目は、効率&スピードの追求です。どれだけいいアイデアも、それを広く知ってもらわなくては価値がありません。以前は、自分で何かを作ったら、それを地道に販売するのが筋でしたが、最近では、販売ネットワークがあるが、コンテンツがない企業と、コンテンツを作れるが、売る術がない会社や個人がうまくコラボしたりしています。そうすることにより、お互いが苦手なほうにかける時間を節約することができます。世の中のニーズが急激に変わるいま、このスタイルはまさに時代に合っているといえるでしょう。
では、皆さんの職場で、このコラボ的発想をどう生かせるでしょうか。それは「いままでは手を取り合うことなど考えもしなかった相手」と手を組むことです。これには、自分のものの見方(というか、相手を見る目、もっといえば好き嫌いも)を進化させなくてはいけませんね。たとえば、企画部と営業部がコラボして、いまお客さんにニーズをすぐに具現化した商品を作る。あるいは、経理部とシステム部がコラボして、現場ユーザーの声を反映した、使いやすいシステムを作る、または新入社員と社長がコラボして、若い世代がやる気を出せる就業規則を作る、など、考えただけでもワクワクするようなものが出てきそうです。
ちなみに本の世界でいえば、ほとんどの出版社では編集と営業さんの仲はあまりよくない(笑)のですが、ここがコラボすると、いい本が作れるのになあ、といつも思ったりします。
次回は、コラボレーションの成功事例について考えてみたいと思います。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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