先日ある管理職研修で、女性部下を持つ女性上司の方がこんなことをおっしゃっていました。「女性の部下に仕事の指示を出すこと、つい遠慮してしまう。つい、”自分でやったほうが早い”と全部自分でやってしまう」と。
詳しい状況をお伺いすると、その女性部下は、上司であるこの女性よりもベテランで年次も上。以前、頼みごとをしたときに嫌な顔をされたことがあり、それ以来、怖くて仕事を頼みづらい、とのこと。
実は私自身も会社勤めをしていた際、同じような経験がありました。私の場合、同時期に中途で入社した同僚が私のアシスタントにつくことになり、コピーをお願いしたら「なんで私がやらなくちゃいけないの?」と断られてしまったのです。このことがあってから、私は彼女に仕事を頼むことが出来なくなってしまいました。それだけでなくいつも気を使い、ことあるごとに顔色をうかがう状態に…。
よく、女性管理職の皆さんが「女性同士は難しいです」とおっしゃいますが、本当にそうだと思います。その背景にあるのは、女性社会は縦社会ではく横社会であることだと思います。横社会に生きる女性たちは、会社の中で自分よりどんなに役職が上でも、直属の上司でも、「ある理由」があると動いてはくれません。
その「ある理由」とは、
1) 自分より知識が下である。
・・・上司が自分よりも仕事の知識が低いと、見下してしまうのは男女ともに変わりません。しかし女性は役割分担というものをイメージしづらく、管理職もスタッフと同等の知識を持っているべきである、と同列に考え、「あの人は何もわかっていない」と上司を見下す傾向が強くなります。
2)判断ができない、自信がなさそうな態度。
・・・女性は男性以上に、「なぜあの人が自分よりも評価され、給料が高いの?」と敏感に感じます。特に女性同士で、上司が自信のなさそうな態度でいると(誤解を恐れずに言うと)なめられてしまいがちです。
常に自分と比較し、「自分よりも○○である」が女性の判断基準になるのです。特に同じ女性同士だからこそ、比べ安いのかもしれませんね。私が昔、アシスタントにコピーを断られた経験も、この2つの要素が大きかったように感じます。「自分と同じくらいの知識と能力なのに、なぜ私よりもポジションが上なの?」と思われてしまったのでしょう。今振り返ると、私自身、自分とアシスタントを同列のつもりでコミュニケーションを図っていたことも問題だったと思います。
女性管理職が、女性部下との関係性を円滑にするために気を付けるべきこと、それは「役割、位置づけを明確にしておくこと」です。きっちりとした縦社会にする必要はありませんが、役割と立場を明確にしてから、仕事やプロジェクトをスタートすることです。
まず、自部門のミッションを部下と共有し、そのミッションに向けや上司としての自身の役割、部下の役割、そしてそれぞれの部下に期待したいこと、助けてほしいことなどを言葉にして伝えます。逆にやってはいけないことは、「一緒に仲良く協力して、楽しく仕事しようね」といった発言だけでスタートさせることです。それによって、部下はけじめがなくなり、上司と部下は一緒、と並列感覚を持ちます。
一方で、男性管理職には、女性とは違う共通点があると思います。それは、自分をより大きく見せようとするとすることです。新しく着任すると、みなさん、「私は君たちの上司です、ちゃんと従ってください」というメッセージを全身で表すのです。中には、あえて威圧感を演出しようとしているな、と感じられる男性もいました。そこまではする必要はないと思いますが、やはり立場をちゃんと伝えることは、大事なのかもしれません。
女性同士は、なあなあになりやすいもの。親しみやすい好かれる女性上司を目指していたはずが、一歩間違えると、なめられる上司になってしまいます。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
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