女性管理職の増加を経営課題として取り組んでいる企業が増える中、「管理職候補の女性に打診するものの、『私には無理です』と辞退の声が思った以上に多く、困っている」との相談を受けます。
先日、キャリア相談に来られた女性が、こんなことをおっしゃっていました。「管理職は、組織の中で働く以上、一番わかりやすいステップアップの手段として興味があるけれど、今の会社では、なりたくないです。」
確かに、「今の会社では無理」とおっしゃる女性の声を度々耳にしますが、一体、何が問題なのでしょうか。
そこで、女性の皆さんにお伺いすると、最初に上がってくるのは、「残業」でした。最近の管理職は、忙しそう。プレイングマネジャーが増え、自分の数字も追いつつ、部下の管理も。そのため、残業も増えている様子。
きっと、女性だけでなく、男性部下も「自分には無理」「あえて目指したいとは思わない」になってしまうのでしょう。しかし、徐々に残業を少なくしていこう、という世の中の動きもあり、最近では、残業が減った、との声もちらほら耳にするようになりました。もしかすると、残業は、仕事の質を高めたり、人員構成を練り直せば、解決するかもしれません。ということで、「もし、管理職の残業が少なかったら?チャレンジしたい?」とお伺いしてみると…。
それでも今の会社ではやりたくない、との回答が数名から返ってきました。理由をお伺いすると、「男性社会」に原因がありました。男女の違いとして、「管理職になる」ことへのモチベーションが挙げられます。男性は、純粋に嬉しい、とおっしゃる方が多い。そこには、出世することへのモチベーションが見え隠れします。一方で、女性は、心から出世に興味のない人が多いのを感じます。
仕事は好き、しっかり真面目にやりたい。でも、管理職になることで余計なことが増えるなら、それは嫌。
では、余計なこと、とは?と、これまた突き詰めてみなさんにお伺いしてみたら、なんと、共通して出てきたのが「やっかみ」でした。女性が管理職になるだけで、あることないこと言われ、少しでも失敗すると、だから女は、という目で見られてしまう。ただでさえ、マイノリティであることは目立つので、必ず変な噂、嫌味を言われてしまう。もちろん、同性からも嫌われたり、仲間外れにされる、なんてこともありますが、何よりも怖いのが、男性のやっかみ、とおっしゃる方が多かったです。
そういわれると、私も以前、男性だけの管理職会議の際、一人の男性に見事なくらい無視されたことがあったのを思い出しました。
しかし、一方で、ちゃんと味方になってくれる男性もいます。ビジネスパーソンとして、対等に扱ってくれる。女だから、ということではなく、仕事で成果を出せば、一人前として評価してくれる人です。
「みなさんの周囲にそんな男性はいませんか?」とお伺いすると、必ずひとりはいらっしゃる様子。どんな方なのかお伺いすると、そういう男性は、みなさん仕事ができる、優秀な方なんだそうです。「経営的視点を持ち、フラットで先を見ている人」という共通点が挙がってきました。
確かに、男女に関係なく、「やっかみ」は自分に余裕がない人の行動かもしれません。「男の嫉妬ほど怖いものはないよ」と男性が口にするのを度々聞きますが、女だから、というより、相手がだれであれ、何かしら相手にダメな理由をつけたいのです。それがたまたま、女性の場合、「女だから」「女を武器に」となるのです。
そんなことでくじけず、気にせず、戦わずに能力を発揮していただけたら。研修でも女性の皆様にお伝えしています。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…
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