女性社員向け研修でご要望が多い内容に「感情マネジメント」があります。「女性部下との関わりで困っていること」でアンケートをとると、「感情のアップダウン」、「気分屋」という内容がどの企業でも挙がってきます。そして一方、女性社員に対するアンケートでも、「感情のブレ」、「落ち込みやすい」、「モチベーションが上がらない」といった言葉が並びます。
なぜ感情マネジメントが大事なのか、というと、それは「安定的に成果を出すため」です。アップダウンがあると、当然のことながら成果にばらつきが出ます。よい感情の時はパフォーマンスの高い成果が出たのに、マイナス感情の時の行動ですべてが相殺される、またはゼロになってしまう。なんとも残念な話です。
また、感情のアップダウンが激しいと、周囲も気を使います。例えば、「今、機嫌が悪そうだから話しかけるのは後にしよう」とか「彼女に頼むとこちらまで気分が悪くなるから、他の人に依頼しよう」などがあります。
以前、こんな女性がいらっしゃいました。「自分でも悪いってわかっているんですが、どうしても、機嫌によって人に対する態度が違ってしまうんです。みんなが気を使っているのもわかるし、しかも余計にそれがイライラする。結果、頼みやすい人に仕事が集中している。どんどん暇になっていって、居場所がなくなりそう。」この方は、営業部でアシスタントをしている方だったのですが、営業マンみんなだけでなく、部長も、そして年下のアシスタントにも気を使われている様子でした。ベテランになるほど、更に孤立してしまう可能性が!
感情マネジメントがうまく行かない人の大きな理由に「不安」があります。不安の原因は、これからの自分はどうしたらいいのかわからない、というもののようです。言い換えれば、ビジョンが明確ではない、ということです。
女性の働き方がますます変化する中、働き続けることを視野に入れていなかった女性も多く、「ちゃんと考えていないまま組織に関わり続けている」、そんな状況かもしれません。ブレないためには、まずは「これからどうしたいのか」、ここを明確にイメージしてみることかもしれません。そのために、研修では感情マネジメントも習得していただきますが、それと一緒に「ビジョン」、「なりたい自分を考える」というキャリアをテーマとした内容を実施するケースが多いです。
確かに、これからどうなるかは分からず、世の中の変化も激しいため、不安は完全には払しょくできませんが、それでもある程度のイメージをしておくと、ブレることが少なくなります。例えば、
1.これからも組織で必要とされ続けるためには、○年後、どんな人になっているとよいでしょう。
2.自分が今まで会った人で「こんな人になりたい」と思う人はどんな言動をしていたでしょう。
3.将来、今まで関わった人に「どんな人だった」と言われたいですか?自分の存在は何ですか?
という3つの問いに基づいて、自分の在り方を考えていただくとします。すると、これは女性だけではないのですが、「今まで考えたことがなかった」とおっしゃる方が多く、戸惑う様子がうかがえます。私たち日本人は、案外今までそのようなことを考える機会がなかったのかもしれません。
働き続ける上で、そして、人生を俯瞰したとき、ちゃんと立ち止まってこれらのことを考えることで、ブレずに安定的に成果を出すことができるのではないでしょうか。
さて、もうひとつ、女性ならではのブレる理由があります。それは次回お伝えしたいと思います。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
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