最近、管理職研修で多く挙がってくる悩みに、「部下とのコミュニケーション」があります。コミュニケーションの悩みと言えば、若手が上司に対するものが中心、と思うのは過去の話のようです。金融機関専門新聞のニッキン、10月4日掲載の特集に、コミュニケーションをテーマにした記事が載っているのですが、「上司とのコミュニケーションがとりやすい」と回答している若手は全体の67%と好評価なのに比べ、上司側は取りやすいと回答しているのは33%で、「苦労している」と答えた上司は40%という結果に。(若手で「苦労している」と回答したのはわずか8%)
セクハラやパワハラが問題となり、上司側が気を使っているのかもしれません。実際、管理職研修では、そのような上司の悩みは浮彫で、必ず「どこまでがOKなのか」の質問が出ます。若手はもちろんですが、女性部下に対する関わり方に悩んでいる上司は、増えているように感じます。どう関わっていいのかわからないから、いっそのこと関わらないようにしようと極端な結論に至る上司も少なくありません。一度関わらなくなると、それは深い深い溝になっていきます。
実際、女性部下からも、「うちの上司は私たち女性と関わろうとしません。そんなので私たちの評価ってできるんでしょうか。」といった不平不満の声もたびたび上がってきます。「上司が気を使いすぎる」これが今後の課題になってくるのではないかと思っています。
さて、そんな中、最近実施しているのがGAPを埋めるコミュニケーションセミナーです。これは、お互いのGAP、たとえば性差、世代差、ライフイベントの差のある同士がお互いを理解するために、ざっくばらんに語り合うといった内容です。
先日、「お互いのGAPを活かしてよい組織にするためにはどうしたらいいか」といったテーマで実施したのですが、50代の男性が「20代の女性と共通点が思い浮かばなくて、話しかけようと思っても何からしゃべったらいいのか・・・結局声を掛けられず仕舞いになっている。ましてやプライベートの話も、どんな内容ならセクハラにならないのかわからないし。」とお話しされていました。お互いが何を考えているのか情報がないから、わからないのは当然のことかもしれません。
GAPを埋めるために「共感ポイントを探す」というワークショップを実施することもあります。世代の違う人たち同士で会話し、時間内にお互いの共通点を10個見つける、といったものです。当然、共通点を見つけるためには、自分の話もどんどん開示する必要がありますし、質問して相手の話も引き出していかなくてはなりません。このワークショップで何よりも良い点は「お互いの共通点が見つかる」と、受講者が嬉しそうな点。GAPのある同士で協働するためには、まずはお互いの違いを知ることと、共通点をみつけることかもしれません。
しかしながら、IT化、効率化が進んでいる昨今、職場での会話が乏しくなっているのも事実です。そんな職場に「お互い対話しろ」と言っても、なかなか進まないのではないでしょうか。今後はあえて、会社側が定期的に社員同士のGAPを埋める対話時間を、仕事以外で設ける必要があるのではないでしょうか。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
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