さて早いものでこのシリーズも最終回を迎えました。今回はまとめ編をお送りします。
2020年4月から始まったこのテーマですが、まさにコロナ禍と時を同じくして走ってきたコラムでした。With コロナの生活を余儀なくされ、地球上のすべての人たちが価値観の大転換を迫られた年でした。リモート、非接触、非対面…これらは対面型に頼っていた多くのビジネスにとって大打撃です。実際、飲食業、旅行業や接客業などは瀕死の状態のところが多いようです。しかし、こんなときこそ「ものの見方」を最大限に活用し新しい活路を見出せるのではないかと思うのです。会社が倒産したなどの暗いニュースが多い中、いくつかの明るいニュースも見えてきます。
あるイタリアンレストランでは、店で提供するドレッシングやパスタ麺などを、店の外に自販機を置いて売ってみたところ、それだけで月30万円の売り上げがあったそうです。
また三井ガーデンホテルでは「ホテルどこでもパス」という100名限定のホテルサブスクサービスを売り出しました。月15万円+αで、30泊どこでも好きな同ホテルに泊まれるというもので、定員以上の申し込みがあったそうです。これで1500万円の売上が確定です。
またエアラインのスターフライヤーでは、プラネタリウム鑑賞フライトという遊覧飛行を始め、これが大好評。ひとり24,000円だそうです。北九州発、北九州着。九州と四国上空を1時間半でめぐり、機内でのプラネタリウムや窓からの本物の星空などを楽しむという企画です。
こうした事例の多くをみると、いまあるものを使って、売る場所を変えたり、ちょっと使いやすくしたり、ほかのものと組み合わせて価値をつけたり、といった工夫が見てとれます。レストランの自販機はモノを変えずに売る場所を店内から店外にした「環境メガネ」ですし、ホテルの例は、まとめてお金を払うことで、系列ホテルならどこでも泊まれるという自由さを出し、まさにリモートワーク時代のニーズに合わせた「立場メガネ」です。またプラネタリウム鑑賞フライトは、通常のフライトにプラネタリウムという価値を組み合わせた「価値メガネ」のよい例です。
いつもは、「現実は変わらない。だから見方を変えよう」と提唱しているのですが、今回のコロナ禍の場合は「現実はガラッと変わった。だからこそ見方もガラッと変えよう」といったところでしょうか。現実が変わらないときは、見方を変えないと価値を生めずにゼロのままですが、現実が大きく変わるとき、見方を変えないとそれはマイナスまっしぐらなのです。
今回の連載で扱ってきた11の業界の事例は、どれもものの見方を工夫することで解決の糸口が見えてきました。ほかのビジネスでも必ず見方を変えることでヒントが見えてくるはずです。コロナ禍の状況はもうしばらく続きます。ただ必ず出口があるはずです。なので、それまでの間、ぜひものの見方の幅を広げて、皆さんのビジネスが上昇に転じることができるよう、心から応援しています。一年の間、お付き合いいただき、誠にありがとうございました。次回より新しいテーマとなります。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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