前回、森元総理の発言について、「女性蔑視発言」という点からではなく、なぜそのような発言をしてしまったのか、という点からその理由を「脳のストレス」から触れさせていただきました。
思考回路の違いに慣れるとコミュニケーションがうまくいく
コミュニケーションがうまくいく時とそうでない時の理由があります。Aさんと話すとスムーズだが、Bさんとはちょっと話が通じないどころか、話すのがストレス。これは、どの程度共通点があるかどうか、の違いによるものです。例えば、価値観が同じ、経験が同じ、持っている知識や興味が同じ、など、話の通じやすさに繋がります。部署が違う相手に説明するのが難しい、など、ご経験があるのではないでしょうか。
思考回路とそれによって出てくる発言の量や順番にも違いは表れます。森さんは、思考回路とそれによる発言の内容や順番にストレスを感じたのでしょう。そこで、これから多様性が必要となる社会で、組織が成長するためには、上位者は特に、自分とは異なる思考回路の相手に慣れる必要があると思っているわけですが、では、一方で、マイノリティである女性側は、どんな課題を担っているのでしょうか。
女性が解決しなければならない2つの課題
それはずばり、男性の顔色を見すぎない、女性同士協力し合う、の2点だと思っています。
◆男性の顔色を見すぎない
男性社会の中で生き残ってきた、男性と同等に活躍している女性の多くは、男性寄りの思考回路を持ち合わせているか、またはその特徴に合わせることが出来た人です。かくいう私は、元来女性の思考回路でしたが、仕事で成果を出すために、男性の思考回路に合わせた発言をしてきました。男性同士の会話を参考に、どのように話せばいいのか、自主的に訓練しました。例えば、聞かれたことだけ答える、しゃべりすぎない、話を脱線させない、感情ワードを極力減らす、そして、結論から言う、などです。正直、これらがある程度できれば、仲間として認めてもらえます。そして、前面に女性は出すぎない。出しゃばる女は嫌われるのです。かといって、女っぽさを出しすぎると、男性同士の話の中に入れてもらえますが、その場の役割として、アシスタント役しか回ってこない。なので、女性っぽい喋り方やしぐさ、自信のなさそうな表情、服装をしない、などもポイントです。
このままのスタンスではよくない、と多くの女性の先陣が声を挙げています。私たちが、ノーと言ってこなかった責任は大きい、と。
では、これからどのように振舞えばいいのか、というと、男性の顔色を見すぎない、と言うことかもしれません。女性には、「好かれたい、嫌われたくない」または、「好かれなくてはならない」という気持ちが強い人も多いのではないでしょうか。そのために、自分の意見を押し殺し、周囲に合わせてしまう、という人もいらっしゃることと思います。まだまだ男性が上位者であることの多い日本の組織、どうしても評価者である上司の顔色は、男女共に部下として気になってしまうものです。でも、それでは会社は変わらないのではないでしょうか。自分がパフォーマンスを発揮しやすい、居心地のよい会社にするためには、我慢したり合わせているだけでは変わっていきません。もちろん、結果を出すためには、相手の顔色を見ることは必要です。例えば、この人にはどんな風に言えば、納得してくれるか、どのタイミングで提案すれば前向きに検討してくれるか、など、情報を得るには、顔色(相手の様子、特徴)を見ることは必要です。しかし、相手に合わせて自分が正しい、こうした方がいい、と思う提案を捻じ曲げるのとは違います。顔色を見すぎ、相手に合わせて結果、波風は立たないけれど、自分のやりたいこと、言いたい事を我慢し続ける・・・。こうならないように、時に無頓着に鈍感を装って振舞ってもよいのではないでしょうか。
◆女性同士協力し合う
男性の顔色を見すぎないことと同時にすべきことは、「女性同士の協力」です。まだマイノリティの女性は、仲間、味方が必要です。一昔前は、男性と同等に活躍している女性が今よりももっと少なかったので、その中で闘うために男性を味方につける、ということも大事でした。今は、その頃に比べれば、同僚は増えているはずです。しっかりと女性同士、縦横の連携を取り、お互い協力することが大事です。というのも、「男性の顔色を見すぎない」で発言や行動をすることで、時に自分が不利になるようなマイナス評価を男性上位者から受けることがあるからです。そんな時に助け合える関係を女性同士が築いておくことです。仲間の女性が困っている時に、女性同士、見てみぬふりをしない、協力し合うことです。
企業研修で、女性向けに実施することも多いのですが、年齢差に関わりなく、お互い尊重しあい、受容し合う、というよい雰囲気のディスカッションの場を度々お見掛けします。そして皆さん、とてもいい時間だった、と心から喜んでくださいます。コロナ禍の中、接点を持ちづらいご時世ですが、ズームなど、オンライン上でブレイクアウトセッションを使ってディスカッションもできますし、女性同士が関わり合える場づくりをしていただきたいと切に願います。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…
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