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第4回「リモート環境での帰属意識の作り方」
会社で毎日顔を合わせていれば、必然的に同じ空間や時間、悩みや喜びを共有することになるので、自然と「同じ屋根の下」感、いわゆる帰属意識も芽生えやすいですが、これがリモート環境になるとなかなか難しくなってきます。今回はこの問題にスポットをあててみましょう。
リモート環境で感じることは…
同じ会社に属していても、出社もせずほとんど家にいるリモートワークの状況。このほうが気楽でいいという意見も多いですが、やはり感じてしまうのは「疎外感」や「孤独感」です。若い人たちに多いのは、せっかく会社に入っても、リアルで会社、つまり自分はこの組織の一員であるということを感じる機会が減り、それがひいては不安につながり、退職してしまうというケース。そこで大事なことは、以下に挙げる3つの「共有体験」を作り出すことです。
人を安心させる「共有体験」
1つめは、目に見える形の共有体験です。
たとえば会社のロゴなどは、ふだんあまり意識することはありませんが、こうして一人ひとり離れていると、そうしたものがお互いをつなげるアイテムのひとつになってきます。
たとえば会社のロゴやキャッチコピーがデザインされたシールや、会社特製のマウスパットを作って自宅で使ってもらう…それらを見ることで「あ、同じ会社のメンバーなんだな」という意識が自然と醸成されていきます。全員に共通のアプリを使ってもらって、連絡を取り合ったりつぶやく程度のゆるいつながりを作ったりも一つのアイデアです。
またオンライン会議のときに、全員で決まったロゴやサインボードをおいてもらってもいいかもしれません。要は視覚から、人の潜在意識に働きかけるという考え方です。
2つめは、理念や価値観の共有です。
とあるリラクゼーション関係の会社では、半年に一度必ず研修をやっていて(最近はオンラインで)、そこで会社が大事にしている理念や行動規範を、全社員に向けて啓蒙しているといいます。接客などのサービス業ではこうした取組みはよく聞きますが、それ以外の業種でも、「わが社はどういう理念を実現しようとしているのか、また日々どんなことに気を行動すべきか」という話し合いを、定期的に行うのがよいと考えます。自宅にいてパソコンで仕事をしていると、自分の会社について考えることはほとんどありませんから、あえてそういう場を設け、その理念について議論したりすることで、会社を意識するきっかけにもなります。
3つめは、日々の出来事の共有です。
会社でいまどんなことが起きているのか…同期の仲間で、客先でこんなトラブルがあったとか、隣の部署でこんな成功事例があったとか、そういった話はふだん会社にいると自然と耳に入ってきますが、リモート環境ではなかなか入ってきません。同じ仕事をしている身として、そういった情報は興味があるはずです。それを聞いて励まされたり、学んだりといった効果もあるでしょう。タイミングや手段はそれぞれでしょうが、ぜひこうした日々の出来事を共有する時間も効果的です。
人同士の交わりを意図的につくる
3つの共有体験について上でお話しましたが、それに加え、人同士の交わりを意図的に作り出すことも大切です。リアルの場では、チーム内のメンバー同士の関わりは自然と生まれますが、リモート下でいると極端に少なくなってしまいます。なので、チームリーダーは、あえて人同士が交わるようなしかけを作り出すことも必要です。たとえば「スイーツデリバリープロジェクト」。これはチーム内で何人か指名してチームをつくり、そのメンバーでスイーツメニューを企画し、メンバーの自宅全員に宅配で送り、その日は同じスイーツ&コーヒーをいただきながら会議をするなど、なにか全員が楽しめ、一体感を感じるようなしかけを作るのも帰属意識を醸成する上で効果があります。毎月誰かの誕生会をオンライン上でやるのもいいかもしれません。
まとめ
以上、いくつかのアイデアを挙げましたが、やはり一番はリアルでのコミュニケーション。しっかりと感染対策がとれる環境を作った上で、たまには一同で顔を合わせる場があるに越したことはありません。それまではぜひ様々な工夫をしてメンバーの疎外感、孤独感を最小限にとどめてあげてください。
●リモート環境での帰属意識の作り方~ポイント●
- 疎外感、孤独感は不安につながる。これをいかに抑えるか
- 3つの共有体験
- 目に見えるもの
- 理念や価値観
- 日々の出来事
- 人同士が交わるしくみづくり
さて次回は、「リモート環境でのモチベーション維持の仕方」についてです。どうぞお楽しみに。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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