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第5回「リモート環境でのモチベーション維持の仕方」
オフィスで毎日顔を合わせている状況と違い、リモート環境で上司と部下とが離れていると、部下のモチベーションを維持するのも工夫がいります。また個人としても自宅で仕事へのモチベーションを保ち続けるのは難しい人もいるかもしれません。今回はそのあたりにスポットをあてて考えてみましょう。
一人で走るのは難しい
多くの人は管理されることに慣れています。なかには自己管理ができていて、言われなくてもきちんと仕事をこなしていく人もいますが、そうでない人にとっては、これまでは上司がそばで「ああだこうだ」と言ってくれていたのに従っていれば良かったのに、急に自己管理しろと言われても…と戸惑いを隠せない人もいるはずです。もしあなたが部下を持つ立場にいるのであれば、ここはひとつ、小学校の夏休みに課題を出す先生の立場になったつもりで、部下たちのフォローの方法を考えてみましょう。
枠組みをつくる
このリモートで仕事をするという状況は、いつまで続くかわかりませんが、例えば一か月ごとに期間を区切って、その月のゴール、チェックポイント、役割の当番などを決めたりするのもよいでしょう。月の初めにオンラインでこうしたミーティングを持ち、そこで週単位のスケジュールを全員で確認します。週の中ごろにチェックポイントを設け、個別にオンラインで進捗の相談に乗ったりします。また役割をつくって(Zoom お茶会など)、その主催を持ち回りでやってもらうなどもよいでしょう。
要はただ課題を与えて放置するのではなく、こちらから意図的に枠組みを作り、それを意識させるという動きが必要なのです。
部下を信じ、コーチ役に徹する
リモートで離れていると、つい部下がちゃんと仕事をしているかが気になり、「あれやったか、これやったか」と詰問型のコミュニケーションをとる上司がいますが、これでは相手のモチベーションは下がる一方です。ここは部下のコーチ役に徹し、与えた課題を共に成し遂げるパートナーとして接することです。いま何か困っている問題はないか、どうすればもっとよくなるのか、そうしたプラスのコミュニケーションをぜひとってください。
他部門や同僚の動きを共有する
オフィスで日々同じ空間にいれば、会社の動きや同僚の仕事ぶり、よその部門の話などが自然と聞こえてくるでしょう。それに刺激を受けたりライバル心に火がついて頑張れたりということもあります。
しかし、自宅で一人でいては、そうした情報も入ってこず、仕事に気持ちが向きにくくなりがちです。
そこで、メールや社内SNSサイト、チャットや掲示板など、なんらかの機能を利用して、会社全体や他部門、または同僚の動きなどが全員に見えるような工夫があるとよいと思います。またそれが無理でも、小グループに分けて、週1回でも定期的に仕事の進み具合や問題などを報告しあう場を作り出すのも効果があります。
自分でできること
以上、管理者側としてできることを挙げましたが、各個人ができることもいくつかあります。まずは毎日同じルーティンを崩さないこと。決まった時間に起き、ご飯を食べ、片づけをして、決まった時間に仕事をすること。また、自分の仕事をするスペースの周りに、仕事に関連するものを目に見えるところに置くことです。パソコンの中に書類などが入っているからいいや、と思いがちですが、それはパソコンを開いてフォルダに行きつかないと開けません。目の前の壁やデスクの横に、仕事に関するものを置いておくこと。視覚からの情報で、仕事脳に切り替えるスイッチが働きます。人は五感を使って仕事のモードに頭を切り替えています。たとえば皆さんそれぞれ、職場の独特の匂いがあるはずですが、それを嗅覚が察知して仕事モードに切り替えているのです。ぜひ意識だけでなく、五感も使ってモチベーションのスイッチを入れてください。
次回は、「リモートでの人の褒め方叱り方」についてです。どうぞお楽しみに。
●リモート環境でのモチベーション維持の仕方●
- 枠組みを作る(ゴール、チェックポイント等)
- 部下を信じ、コーチ役に徹する
- 会社や仲間の動きを共有する
- 自分のルーティンを崩さない。五感をうまく利用する
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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