前回、リーダーシップとは「進む方向を示し、全体を見ながら調整していくことである」と述べましたが、具体的にどうすればリーダーシップが発揮されるのでしょうか。
第一に、事前にきちんと人間関係を作っておくことです。いきなり新任リーダーがやってきて「今日から僕についてこい!」と旗を振ってもだれもついてきません。やはり、個別面談やランチ、ちょっとした立ち話飲み会やなど、しっかり部下とかかわる時間をとって、お互いをよく知る時間を作り出す努力が必要です。リーダー自ら襟を開き、自分という人を知ってもらいましょう。相手の人となりがわかって初めて人は「ああ、この人となら、何かを一緒に協働してもいいかな」という気になるのです。このプロセスを飛ばしているリーダーがあまりにも多い。どうかこの関係づくりを大事にしてください。
第二は、ふだんから会社/自分の目標、そしてその理由を公言し、公の元にさらしておくことです。それには自らの口で語り、社内ボードにそれを掲示していつでも見えるようにし、社内向けのSNSやブログでもそのことを発信し続けることです。人はすぐに冷めてしまいます。口を酸っぱくしてでもそれを言い続けることです。
そして三番目はリーダーシップのスタイル。昭和の時代は上の権力が絶対で「黙って俺について来い!」的な強引なリーダーシップでも通用しましたが、いまの時代は、むしろ「サーバント」(仕える)型リーダーシップが主流。後ろから支える、見守る、といったスタイルがいまの若い人たちには合っています。仕事は任せっぱなしではなくきちんとフォローする、声掛けを頻繁にし、安心感を与えるといった気遣いが必要でしょう。
次は、フォロアーシップを高める工夫です。フォロアーシップを高めるというのはつまり、個々の自発的意識を高め自律力を上げる、ということにほかなりません。そのためには、ふだんから権限を委譲して小さい仕事(ミーティングの進行役など)を当番制にして任せたり、メンバー同士のお互いの仕事を交換したりして緊急時にカバーしあえるようにしたりすることもできるでしょう。またリーダーが参加する上層部のミーティングなどに同席させ、会社全体のビジョンや経営計画など、トップが考えていることを肌で感じてもらうのもよい刺激となります。あるいは、過去一週間、自分が仲間に一番助けられたエピソードなどを皆の前でシェアする”MHW:マイヒーローオブザウィーク”などのしくみを取り入れ、お互いがフォローし合えるような場づくりをしてもよいかもしれません。
リーダーシップが発揮できないと嘆いている人は、ほとんどの場合、リーダーがリーダーシップが何かについてきちんとわかっておらず、それが発揮できる土壌づくり、つまり関係づくりをしてないのが原因ですし、フォロアーシップがないという場合は、それを発揮できるような働きかけ(権限の委譲やしくみの導入)を怠っているからです。思い当たる方は、ぜひこれらの行動を実行してみてください。
次回は「チームとしての目標の共有」についてです。どうぞお楽しみに。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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