第8回「実録インタビュー“リモート環境で働いて思うこと”」(前編)
今回は、あるイベント企画系企業で営業職として働くAさん(32歳)にインタビューをしてみました。Aさんの会社は社員数約20名。コロナ禍以前は本社が都内にあり、当然毎日そこへ出社して業務を遂行していましたが、コロナをきっかけにリモートワークとなり、いまはオフィスも解約して、拠点は都内数か所のシェアオフィススペースを活用しています。実際にリモート環境でここ一年半あまり働いてきたAさんの、生の感想を聞いてみたいと思います。
実録インタビュー
(※コールセンター:受付代行サービスのようなもの。かかってきた電話の要点をまとめ、担当に連絡してくれる)
前編まとめ
私の個人的な興味は、Aさんの会社のように、これまで毎日同じ場に集まって仕事をしていた業務が、各社員が物理的に離れたリモート環境下において今まで通りできるかということでした。
意外だったのは、「業務の遂行においては大した影響はない」ということです。Aさんのような営業職では、元々仕事の性質が「自己完結型」であったということもありますが、少なくともモノづくりの現場や、その場にいないと仕事が進まない業態以外は、ズームなどのオンライン会議ソフト、またグーグルのファイル共有システムなどをうまく活用することにより、プレコロナ時代と同等あるいはそれ以上の効率で、仕事をすることができるようです。そしてここで大事なのは、何か新しいシステムを作るのではなく、いまあるものをうまく使いこなす、という発想です。いまは無料で利用できるものもたくさんありますので、セキュリティ面などをしっかり検討して利用するのがよいでしょう。
部下への信頼が、社員の自主性と会社への忠誠心を育てる
また、リモート環境になると、直接会社のメンバーや上司と触れ合う機会が極端に減ります。何をもって「この組織で働きたいか」という動機になるのか、という点が疑問でしたが、Aさんの最後の回答にそのヒントがありました。Aさんは「リモートワークへの移行も簡単ではない中で社員のことを考えて柔軟に働き方をシフトしてくれた会社への感謝」があり、それに対して応えたいという気持ちがあるとコメントしています。
ここからわかることは、働く人が働きやすい環境を整えてあげること、それが社員の忠誠心につながるということですね。上の人間の考え方が古いままだと、出社せよ、報告せよ、とある意味社員をできない子どものように扱い続けますが、社員を信頼し思い切って舵を切ることで、社員の自主性も育ってくるのです。
(後編に続く)
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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