第9回「実録インタビュー“リモート環境で働いて思うこと”」(後編)
今回は前編に続き、あるイベント企画系企業で営業職として働くAさん(32歳)にインタビューの後編です。
実録インタビュー(前編より続く)
後編まとめ
Aさんのお話からいくつかのポイントがみえてきます。まず一つ目は、社員が自律していること。会社だと周りに人がいるので、つい人に聞いたり、何かあっても上司の顔がすぐ見えます。しかし、自宅で仕事をしていると、一人で考え判断する時間が増え、結果としてそれが本人の自律性を高めているのですね。もちろんこうしたプラスの循環を生むには、社員の素養として、放っておいてもさぼらない責任感のある社員であることが大前提となります。
二つ目は組織の未来の形です。100%リモートで組織を運営していけるだろうか、今回考えてみましたが、個人的にはNGです。人は社会的動物である以上、帰属欲求があり、人と交わっていたいという気持ちが強くあります。オンラインだとどうしてもやりとりできる情報量が限られてしまい、人が人として繋がる(つまり信頼関係を築く)には、対面で会うことに勝るものはありません。その意味でも、組織内のつながりを体感するためにも、たまには顔を合わせる機会は必要であると考えます。また会社という物理的な場が必要かについてですが、現代社会において多くの人が家を持ち、そこに定住する生活をしているように、仕事においても、自分の落ち着く場所、安定した場所を求めたがるのが人の性ではないでしょうか。もちろん、フリーアドレス的な生活を思考する人も増えていますが、圧倒的多数にはならないと推測します。以上から、社員が集う場、安心できる場としての会社という場所はあるに越したことはないですね。
そして三つ目は、現場の声です。Aさんも言っていましたが、リモートワークへのシフトには最初、管理層の抵抗が強かったようです。それをひとつひとつ数値などを使って説得し、いまの環境があると言います。会社の経営側と現場側とでは考え方も違いますが、今後、組織の魅力度を高めていく上で、働きやすい環境づくりというのは必須です。そのためにも、経営層は現場の声に耳を傾け、環境づくりを進めていくことがポストコロナ時代には必要になってくるでしょう。
【今回のインタビューで見えてきたこと】
- リモートワークを実現するには、自律できる社員が前提条件であること。
- 人である以上、帰属欲求はなくならない。よってリモートワークであっても、定期的に
対面で社員同士が交わる場をつくることが望ましい。また物理的な会社という場も、人
という社会的動物の安心感を満たす上で有効である。 - リモート環境を作っていく際には現場の声に耳を傾けること。それが働きやすい環境づ
くりにつながり、ひいては会社の魅力にもつながる。
次回は、「リモート研修を実施して気づいたことをシェアします」をお送りします。どうぞお楽しみに。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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