さて、チームの目標が決まったら次はそれをどう実現していくかです。おそらくチームリーダー(上司やマネジャー)はこう考えるでしょう。
「うちのチーム目標は3000万…ということは、Aに1000万、Bはまだ中途で入ったばかりだから800万にしとこう、新人のCとDは500万づつ、すると残り200万は俺がやるか…」
残念ながら、リーダーがこう考えた時点でそのチームはアウトです。チームとしてまったく機能しなくなります。このやり方で走り始めると、いったいどうなるでしょうか。各担当者は当然、他人のことなどどこ吹く風で、自分のことだけしか考えません。だって与えられたノルマを達成しないと、自分の査定にも響くわけですから。これではチーム目標とは言えません。個人目標です。
“皆が皆のことを考える”場をつくる
上のやり方でいけないのは、マネジャーが自分で目標を考えていることです。チームとして目標を達成するには、メンバー全員がチーム全体のことを考える立場に立たなくてはいけません。「それはマネジャーの仕事だ」と思う方は、いますぐ頭を切り替えてください。マネジャーが一人でそのタスクを抱えた時点で、それはブラックボックスとなり、ほかのメンバーからは見えないプロセスとなるのです。
まず全員を一堂に集め「どうすればこのチームに与えられた数字を達成できるか」、そのプランを全員で考えてみるのです。おおまかな数字の割り振りはマネジャーがやってもいいですが、その積み上げの方法を考えるプロセスは、各自がみんなの前でオープンにするのです。既存の顧客をリストアップし、どれくらいの動きをすればどのくらいの売上が立つか、足りない分はどれだけ新規にあたる必要があるのか、といった見積もりを各担当者がシェアし、それについて全員が考えるのです。こうしていくと、一人一人が動けるキャパや、その見積りが甘いのかどうかが手に取るようにわかり、全員が「これは普通にしていたらとても達成できそうにない」などという”感覚”を共有するようになるのです。こうなってはじめて、チームで目標を共有できた、ということになるのです。
このプロセスをとおして、聞いていたほかのメンバーが何かいいアイデアを思いついたり、逆にヒントをもらうこともあるかもしれません。そういった相乗効果、インタラクティブな関係性が生まれてはじめてチームと言えるのです。この関係性を「チーム内戦略」と呼びます。これがじつは、チームとして目標を達成し成果を出すカギとなるのです。営業戦略だけではチームは機能しないのです。
次回はこの、もうひとつの戦略―「チーム内戦略」について詳しくふれていきます。どうぞお楽しみに。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
モチベーション|人気記事 TOP5
自分の意見を持つことを意識する
渡邊洋子のコラム 「臨床心理士が伝えるストレスとの向き合い方」
小さく考える
川村透のコラム 「あなたは自分の力を信じていますか?」
自分のプリンシプルを持つ
川村透のコラム 「あなたは自分の力を信じていますか?」
講演・セミナーの
ご相談は無料です。
業界21年、実績3万件の中で蓄積してきた
講演会のノウハウを丁寧にご案内いたします。
趣旨・目的、聴講対象者、希望講師や
講師のイメージなど、
お決まりの範囲で構いませんので、
お気軽にご連絡ください。