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2022年01月25日

〈年齢×会社〉で読み取れるキャリア自律の傾向と対策

キャリアデザインに関するテーマを様々な企業にて研修や講演でお手伝いさせていただいている中、同じお話でも、伝え方を変える必要があることを感じます。それは、(1)年齢によって(2)会社によってです。

年齢による意識の違い

まず、(1)年齢によって、ですが、特に大手の歴史ある会社は、上の年代の人ほど、就社意識(定年まで勤めあげる意識で入社)の高い人が多く、会社への依存度が高い傾向がみられます。それは、彼らが一方的に悪いわけではなく、時代もあります。会社からの命令、例えば転勤や異動は絶対であり、それを断ったら将来の出世は閉ざされました。でもその分、会社の命令通りに業務を遂行すれば、評価と信頼を得ることができました。社員も会社もお互いに依存の関係です。しかし、若手社員たちは、そんなこと関係ありません。大手の歴史ある会社に入っても、同じ意識ではありません。働き方の考え方は時代と共に変化し、自身の生き方に合わなければ、辞めてしまいます。異動命令が出たタイミングで退職することは、よくある話です。世代が上の人たちからすれば、なんで折角大手のいい会社に入ったのに辞めてしまうんだろう、もったいない、と思われることでしょう。

一方、スタートアップベンチャーで20代30代中心の組織は、定年まで在籍するイメージはなく、社員は自身の成長の通過点として所属しているため、依存することなく、今の会社は自分の未来に繋がる経験が積めるのか、をシビアにみています。メリットがない、と感じたら、すぐに辞めてしまう人も少なくありません。ここでいうメリットとは、自分のやりたいことができるか、充実した日々が送れるか、実績といえるものが身につくか、など、人それぞれ異なります。だから経営者は、優秀な社員が辞めないような努力をしなくてはなりません。ある意味、会社と社員は、対等な関係になれます。

研修や講演の時、対象者の年齢×会社の歴史などの特徴から、社員たちが自身のキャリアを自律的に考えているかどうか、がわかります。現状を把握した上でサポートさせていただいています。

例えば、40-50代女性×大手の歴史ある組織に対してのキャリアデザインの講演は、なぜ主体的に自身のキャリアを考えなくてはならないのか、時代が激しく変化している中、軸を持つことの大切さや定年退職後もセカンドキャリアが控えているので、そこまで考えるキャリアの課題、といった話から入ります。一方で、20代×スタートアップベンチャーに対しては、ビジョンの考え方などから入ります。若手は、男女共に働き続けることを前提としている中、これから起こるかもしれないライフイベントのことやビジネス経験が浅く、将来のことをイメージする材料が少ないことから、漠然とした不安を感じることも多いからです。

会社による風土・考え方の違い

さて、もうひとつは、(2)会社によって、です。それは、会社の風土やトップの社員育成に対する考え方による違いです。トップ層が社員を育成する意識が低く、上と下の信頼関係がなく、ギスギスしていたり、逆に会社が社員になんでも与えていて、やってくれることが当たり前、と思っている社員の多い組織は、主体的に前向きに自身のキャリアを考えづらい傾向があることがわかります。

というのは、社員が何でも他責にしてしまうからです。会社が〇〇してくれないから。うちの会社は上の人達の考え方が間違っているから。など。さて、そういう会社にみんなが所属しつづけるわけではありませんから、辞めていく人は、自身のために転職していなくなります。しかし、辞めるきっかけや勇気のない人は、文句を言いながら在籍しつづけるのです。そういう会社でキャリアの研修や講演をする際は、まず、自責で考えてもらうことからゆっくりお伝えします。

キャリアカウンセリングでも、このような組織にいて、辞めたいけれど辞められない方の相談に乗ることも多いのですが、どの方も辞めたいが、これというアピールできる実績が積めていない、とおっしゃります。

今の会社は、自分にとって良い会社ではないかもしれません。でも、それと自分のキャリアとは別物です。良い会社じゃなかったから、自律的にキャリアが積めませんでした、と言っても、外では通用しませんから、その中でひとつでも、これをやった、できた、といえることを今からやってみてほしい。そんな風に研修や講演で伝えています。

キャリアカウンセリングでのお話に戻りますが、今の会社が好きではなかったけれど、実績を作るために頑張って仕事をしたら、気づいたら周囲から評価され、結局辞めずに頑張ることにした、という事後報告をいただいたことがあります。

社員自身がキャリアの選択権を持つことは会社の生産性アップに繋がる

自律的キャリア、とは自分で選択権を持つことでもあります。残るもよし、辞めるもよし、です。自律的に活躍できる社員が増え、会社の生産性アップに繋がることを目的に研修や講演をさせていただいていますが、それと同時にひとりひとりの未来がより良いものになるように、を願って研修や講演ではお話させていただいています。

藤井佐和子

藤井佐和子

藤井佐和子ふじいさわこ

キャリアアドバイザー

個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…

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