第4回「人に頼る力」
さて、今回は「人に頼る力」について書いてみたいと思います。私を含め、仕事にしろ何にしろ、自分でやったほうが早いしうまくできる、そう思っている方はきっと多いことでしょう。人に頼る、というのはそのプロセスでいくつかのストレスがあります。頼むこと自体が面倒くさいし、相手も忙しいかもと遠慮してしまう。もし断られたら嫌な思いをする。加えて、頼むということ自体自分のプライドが許さない…このように「頼む」という行為にはたくさんの障害があるのです。
どちらが優秀なリーダーか
ここでちょっとリーダーの在り方について考えてみましょう。リーダーのタイプには二つあります。ひとつにはその人自身が優秀で、なんでもこなせるタイプ。もうひとつは、なんだか頼りなくて、周りが助けないとどうにもならないタイプ。
リーダーが優秀な場合、その人のリーダーとしての資質は素晴らしいですが、反面周りが育ちにくいものです。一方、リーダーが頼りない場合、周りの人があれこれ頑張るので、結果として成長につながり、将来そのリーダーがいなくなってもチームは機能します。後者のケースの場合、リーダーは意図して頼っているわけではないのですが、結果的に頼るという構図を生み出していることになりますね。このように、人の成長という切り口で見た場合、周りに頼るリーダーのほうが人は育つのかもしれません。もちろん、前提条件として、部下がある程度優秀である必要はありますが(笑)。
大きな仕事をする人は甘え上手
一人が優秀でも大きな仕事はできません。大きなプロジェクトを動かすには、たくさんの人がかかわり、仕事量も膨大で、自分が全部に目を張り巡らすことは難しいものです。そんなとき、頼み事をした相手がその期待に応えてくれるかどうか、自分の思い通りに仕事をしてくれるかは、そこまでの人間関係の在り方が重要です。甘え上手な人は、普段から相手との関係をうまく作っており、ちょっとしたことでも相手に何かプラスを与えています。あるいは人間的に憎めない魅力があるのかもしれませんね。そういった前段があるからこそ、相手に頼ることができるのです。
頼ることは恥ずかしいことじゃない
人に頼るのが苦手な人は、「頼るなんて自分のプライドが許さない。恥ずかしい」という気持ちや「相手に悪い」という気持ちが先行しがちです。しかし頼るという行為は、相手にチャンスや成長の機会を与え、また自分の信用関係を広げることにも繋がるのです。
これは金融機関への借金にも似ています。借金をするのを嫌がる人は、お金を借りるという行為自体にリスクや不安を覚え、返せなくなったらどうしようと考えます。でも借金=信用作りととらえる人もいます。要は借りたお金をきちんと返せば、その金融機関との信頼関係が生まれ、いざというときにもっと大きなお金を借りることができるようになるのです。
甘え下手なら、甘える練習をしてみよう
一人で仕事をしていると、やはり限界を感じることがあります。誰かに何かを頼んだりできれば、もっと世界が広がるはずだなと。
でも甘え下手な人は、いきなり仕事を頼んだりはできないもの。なので小さいことから練習してみればいいのです。ちょっとものを借りては返したり、ちょっとした用事を頼んでみたりしてみましょう。そして「すごく助かったよ。ありがとう?」と満面の笑みと共に御礼を言うこと。そうすれば相手の気分もよくなりますし、またやってあげようと思ってくれるはずです。
いまリモートワークなどが一般化し、個で動くことが多くなってきましたが、こういう時代だからこそ、人に頼るという行為をできる人ほど大きなアドバンテージを持てると思うのです。人に頼る、甘えるというのは、決してマイナスではなく、自分の信用を広げ、相手にも成長の場を与える、プラスの行為だと覚えておきましょう。
【まとめ】
- ダメなリーダーほど頼り上手。結果的に周りが育つ。
- 頼るにはそれまでの人間関係があってこそ。
- 頼ることは自分の幅を広げ、相手にも成長の場を与えること。
- 個の時代だからこそ、頼るという術を身につけよう。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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