衆議院解散など、政治の変化により、雇用に関する課題がどのように変化するか、目が離せません。また、内閣府が17日に発表した2014年7─9月期国民所得統計1次速報によると、 実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス0.4%、 年率換算マイナス1.6%となったとのこと。
ベアアップはあったものの、結局、消費税アップによって生活は潤わず、「むしろ厳しくなった」なんて声もあります。
自分のキャリアを自己責任のもと、しっかりと築いていくことが大事だと感じた方も多いようです。
先日、ある企業で男性管理職の皆様に女性部下育成研修を受けていただきました。その3か月後にフォローアップ研修を実施したのですが、1回目と2回目の間に「女性部下ともう一度関わりなおしてほしい」との宿題をお願いしました。フォローアップ研修では、どのグループからも「改めて女性部下に関わってみたら、モチベーションが高く、やる気があることが意外で、びっくりした。」との発表がありました。
おそらくですが、一昔前から女性の意識は大きく変わっているのを、特に男性管理職は気付いていないのかもしれません。というのも、一昔前は「寿退職」という言葉があったように、いずれ辞めることを女性本人も、そして会社や上司も視野に入れて関わりあっていました。そのため、いずれ辞める女性に対しては「仕事は任せづらい」、「まあそこそこのパフォーマンスを出して、安定的に機嫌よく仕事をしてくれていたら、それでいい。」そんな風潮がありました。
しかし、今や女性の意識は変わったのです。女性が活躍できるチャンスが増えてやりがいにつながったこと、そもそも昔と違って働き続けることが当たり前、働き続けなければ食べていけないことが、若い世代を中心によく知られているのです。
だから、未来も活躍していられるように、今を一生懸命悩んでいるのです。
――他国同様、日本の女性は働き続けることになる。
こんな未来を頭ではわかっていてもイメージが湧かない。女性は結婚、出産後に専業主婦になる。このような過去の固定観念からの脱却ができない。そんな様子を、度々企業研修で男性管理職を中心に垣間見ることがあります。
上の世代の方が、もはや日本は男女関係なく働き続ける必要性があることを、まだ現実として受け止めきれていないようなのです。
私は、いかにその固定観念を払しょくできるかを、まずは講演で語らせていただくのですが、大きく言えばその背景は少子高齢化とグローバル化です。
以前と比較すれば、結婚出産を機に仕事を辞める人は減って、その後も働き続ける女性が増えたことがうかがえます。しかし、世界と比較すればまだまだです。他国では、当たり前のように女性は働き続けていますし、また、働き続けられる仕組みも整っています。たとえば、スウェーデンは90%以上の女性が結婚出産に関わらず、働き続けています。
日本と大きく異なるのは残業です。実は日本は他国と比較して、韓国と競るくらい残業しているにも関わらず、他国より生産性が低いというデータも出ています。
高度成長期の頑張り方に引きずられているのでしょう。以前は、時間的に頑張れば頑張るほど結果が出たのですが、今はそうではありません。寝ないで頑張るのでは、もはや成果は出ないのです。今、まさに働き方を変えないと皆が疲弊していきます。というのも今後、子育てだけでなく、介護のことまで考えたら、女性だけでなく男性にも負担がかかり、誰もが効率的に時間を使わなければ両立して働くことが厳しくなります。日本も働き方を見直すタイミングに来ているようです。そして、おそらくそれは今やらないと、間に合わなくなるのではないでしょうか。
「24時間365日働ける人だけに負担がかかる社会」から卒業しなくては、誰もが疲弊してしまいます。
このように根底から考えれば、今、日本の働き方の価値観を「男女差だけの問題」ではなく、大きな意味で変えていかなくてはならないのがわかります。
男女の違いだけでなく、もっと広い形で「人」を考えてみると、誰もが自分のキャリアを考え、どのように働き続けるのか、今と未来を繋げていくことを意識していかなくてはなりません。
日本は、特に大手を中心に、新卒から定年までずっと過ごせる特徴があります。これは有難いことなのですが、他国に比べると自分のキャリアを自分で考える力が低いといえます。というのも、他国では会社を変えるのは当然のことであり、転職しながら自身のキャリアを形成していきます。そのために、常にどんな求人が世の中に出ているのか敏感で、常にチェックしている方も多いです。しかし日本は、辞めたいと思った時やリストラなど、会社事情の退職をきっかけに慌てて探し出す、という様子を度々みます。
このシステムが悪いわけではないのですが、そうであれば組織の源泉力となる人材を上司はもっと育て、女性を含めた部下後輩が将来の戦力となるよう、マインドと経験を積ませる意識を強く持つことが大事かもしれません。
そして、女性本人もひるむことなく、自分の未来を守るためにも、しっかり足元を固めていくことが自分を守ることに繋がります。
日本は、男女共に昔の概念から抜け出すこと、そして自走できる力を身につけることが、今問われているのかもしれません。
女性には可能性がたくさんあります。女性自身も自分を信じ、そして上司の方にも女性を信じて向き合っていただけたらと思います。女性向けの研修では、女性のみなさんには可能性があるのに、まだ今の組織のやり方では力を発揮しきれていないことがうかがえます。
今までのやり方、モノの見方を変える勇気と意識。研修や講演では、それを皆様に考えていただけるようにお伝えしています。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…
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