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第8回「コミュニケーションをとる力」
最近、多くの会社さんで「うちの社員はコミュニケーションの基本ができていないから、そこを何とかしたい」というご要望をよくいただきます。なので、今回はコミュニケーションをとる力について書いてみます。
このテーマについては「そんなごくあたりまえのことを?」といつも思っていました。しかし色々な企業様で「ほんとに挨拶からやらないとダメだ」という嘆きの声のなんと多いことか。リアルなコミュニケーションに頼っていた昭和の時代と違い、IT技術の進歩、コロナ禍でうまれた人との距離、また働き方の変化などで、ますます人と人とのリアルなコミュニケーションの経験値が下がっているのも事実。ですので当たり前かもしれませんが、今回は基本的なことについておさらいをしたいと思います。なお、コミュニケーションといっても幅広いので、ここではふだん顔を合わせている上司とのコミュニケーション、そして仕事の話ではなく雑談、という設定にします。
心の持ち方で大事なこと
まず大切なのは「この人と関係をつくろう」という意欲です。たとえ人間的に好きでなくても、仕事上はうまく関係を築いていかねばなりません。なので、この意欲がないとそもそもコミュニケーションはうまくいきませんので、ここをしっかりと意識してください。そして「自分から話しかける」というちょっとした勇気が必要ですね。ぜひ受け身にならず、自分からスタートしましょう。
型を守る
物事にはすべて準備があります。車のエンジンも走り出す前にアイドリングが必要なように、会話にもウォーミングアップが必要です。ここでよく使われる話題が「挨拶、天気、ニュース」ですね。「部長、おはようございます!今日は一段と冷えますね~そういえば昨日皆既月食みました?」という流れですね。このようにウォーミングアップには当たり障りのない話題を使いましょう。相手に拒否する理由はありません。こうして会話はだんだんと温まっていくのです。
相手の興味や得を考える
今回の前提は雑談ですが、やはり意識をしたいのは「相手が興味のあるもの、相手に得があるもの」です。野球に興味のない人に昨晩の日本シリーズの話をしても一向に盛り上がりませんよね。このような失敗をしないためには、日頃からのリサーチが必要です。コミュニケーションの基本は相手に興味を持つことですから、まずは話す相手がどんなことに興味があるのか、趣味や食べ物、ビジネスなど、一通り下調べはしておきたいところです。余裕があれば、そのジャンルについて少し勉強をしておくとなお良いと思います。
次に話題ですが、できれば相手にとって得があるものがベストですね。たとえばバイク好きな上司だったら「~部長、そういえば来月ホンダから新しいバイクが出るそうですね」という具合に。もしそのニュースを知っていても「そうなんだよ、よく知ってるね~君」と言う風にそれにのってくるでしょうし、知らなかった場合は「えっほんとか?~君、どこで見たんだそれ?」と食いついてくるでしょう。
質問したり教えを乞う
雑談ができるようになれば、会話はスムーズに流れるようになります。次のステップは、こちらからその話題を深堀りしていくことです。たとえば「~部長、バイクって何がおもしろいんですか?」とか「~部長、その新発売のバイクっていくらくらいするんですか?」のように。自分の好きな趣味について質問されるのは嬉しいでしょうし、また質問するということは自分も少しは興味があるというアピールにもなります。ですので、たとえ本当は興味がなかったにしても「質問をする」というアクションは、会話を深めていくことができるテクニックのひとつです。もちろん、ただやみくもに質問すればいいというわけではなく、自分が感じた素朴な疑問を聞けばよいでしょう。
コミュニケーションは分かち合うこと
コミュニケーションの語源は、ラテン語で「コミュカチオ、分かち合う、共有する」ことです。コミュニケーション力のある人というのは、相手に、あなたと何かを共有できたという体験をさせてあげるのが上手な人のことをいいます。バイクの話題をあなたと共有できた、という喜び。自分の考えをわかってもらえた、という喜び。こうした喜びを作りだせる人がコミュニケーションの達人です。ぜひ皆さんもコミュニケーションの力を磨き、相手と多くを共有し、分かち合う喜びを作り出してください。
【コミュニケーションにおける大切なこと】
- 「この人と関係をつくろう」という意欲で
- 「挨拶、天気、ニュース」、そして本題
- 相手の興味や得を考える
- 質問したり教えを乞う
- コミュニケーションの達人は、相手に共有体験を作り出すのがうまい
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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