さて、現場を活かすマネジメントについてまず一番大切なことは、上司の心構えです。職場改革がうまくいってない現場でよく聞かれる声は、「現場がどうもついてこない」「うちのスタッフは、やる気がない」といった上司の声。しかしこれはすなわち、上司の心構えができていないことの写り鏡なのです。
人は感情で動く生き物。ロジックでは納得しても心から動いてはくれません。現場を活かそうと思うとき、一番大事なのは高度な方法論やテクニックではなく、上司の心構えなのです。上司である皆さん、次の二つの質問に答えてみてください。
・上司というプライドを捨てられるか
・現場の人を一緒に職場を改善していくパートナーとみられるか
社長や管理職の人には、心のどこかに必ず「自分は管理する側、現場は動く側」という”身分”意識が存在します。そうしたプライドが邪魔をして、現場の人との壁を作っているのです。本当に心から、現場の人が一番よく知っている、と思えるでしょうか。一人ひとりの可能性を信じ、権限を任せる覚悟ができているでしょうか。意見を出す場を作っても、ただのガス抜きと考え、彼らの労力を軽んじてはいないでしょうか。多くの管理職の人をみると、ここに問題があるように思えます。
よく、現場のスタッフを集め、逆三角形の組織図を提示し「今日から皆さんが一番上で、それを管理職が支えるのです」と言えばそれで伝わると考えている管理職の人がいますが、これだけではまったく意味がありません。本気の心構えは、次のような行動によって、はじめて現場のスタッフに伝わるのです:
ある会社では、社長主導で職場を活性化するプロジェクトを立ち上げ、半年あまりの取り組みのまとめとしてバスツアーを企画し、そこでメンバーの労をねぎらうというイベントをやっています。こういう取り組みは、現場のスタッフの皆さんを意識づけ、やる気にさせるとてもよい機会だと思います。ぜひ皆さんにも、本気の心構えを裏打ちする行動をお願いします。
次回は「職場の空気」のマネジメントについてです。どうぞお楽しみに。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…