目次
今回は、現在大変関心が集まっているChatGPTやAIに焦点を当て、AI導入のメリットやデメリット、ChatGPTの利用が進むと思われる職種を考えてみます。そして、企業がAIやChatGPTの導入における対策課題等について触れてみます。
AIの発展と企業の対策
ChatGPTもAI(人工知能)の一つです。コンピュータの性能の向上に伴って、AIは著しく進歩してきましたす。今ではAIは産業から生活に至るまで、人間社会に深く浸透して発展を続けています。たとえば、インターネット上で無料公開されている翻訳機能が、極めて高い水準であることに、多くの人が経験していることと思います。
1997年にIBMのスーパーコンピュータ、ディープブルーがチェスの世界チャンピオンに勝ち、世界に衝撃が走りました。その後、AIは将棋のプロ棋士に勝ち、さらにチェスよりゲームとして複雑な囲碁において、2017年に世界最高峰のプロ棋士に勝利しました。これらのAIの進化を決定的なものとしたのが機械学習とディープラーニングです。
当初、AIは人間の知能に追いつくことを目標に開発が進められましたが、いまではAIは人間の知能を大きく越えた存在になっています。AIの発展の速度に使う側の人間の対応・対策が追い付いつかず、様々なトラブル発生も少なからず耳にします。
企業にとって、AIを採り入れていかに収益を増やしていくかが大きな課題となります。また、AIを大幅に採り入れない場合も、ツールとして利用するにあたり、トラブルが起きないように使用ルールを定めておくなどの対策が必要です。
AI導入のメリットとデメリットの具体例
高度に発展したAIは、人間に代り産業活動から一般社会での様々な知能的作業や活動を行います。AI導入によるメリットの具体例をあげてみます。たとえば、製造業等においては次の通りです。
- 検品の負担軽減と属人化の解消
- ドローンとAI活用で点検作業を効率化
- 創薬プロセスの迅速化
- AI-OCRとRPAが定型業務の品質とスピードを維持
- ロボットによる人手不足の解決
- 不安点な情勢の中でも正確な需要予測
次に一般社会や生活でのAI導入のメリットは以下の通りです。
- 教育の効率化と教員の負担軽減
- 自動分析で医師不足を解消
- 勝敗予想や選手のケガ防止にAIを活用
- チャットボットやボイスボットでコールセンターのオペレーターの負担軽減
- レコメンドAIの導入で多くの悩みを解決
- 犯罪予測や不審者を検知
AIの導入はメリットだけではなく、デメリットもあります。また、場合によっては導入に対して生ずる様々な問題に対策を講じなければなりません。AI導入によるデメリットや対策課題は次の通りです。
- 情報漏洩のリスク
- 責任の所在が不明確
- リスクマネジメントが困難
- 思考プロセスがブラックボックス化
- 支出の増加
- 雇用の減少
ChatGPTを導入する、もしくは影響を受ける職種
AIには生成AI、識別AIがありますが、ChatGPTは生成AIです。生成AIは、(1)画像、(2)動画、(3)音楽、(4)テキストなどを生成しますが、ChatGPTはテキスト(文章)を生成します。
ChatGPTを積極的に導入が予想される職種、もしくはChatGPT影響を受ける職種として、次のようなものがあげられます。
- 文系大学教授
- 裁判官・弁護士
- 会計士
- 事務、経理
- 保険代理人
- テレマーケティング
- 通訳、記者、文筆業
- 工場の(単純)ライン作業
- 公官庁、自治体
国会において議員の質問に大臣等が答弁する場合などには、ChatGPTが大いに活用される可能性があります。同様に、地方自治体において議会での質疑応答に、また新政策の立案にChatGPTが使用されることが予想されます。
国、都道府県、市町村に業務で使用する様々なソフトを納入しているIT企業は、今後公官庁、地方自治体向けに特化した生成AIを開発していく事が予想されます。
ChatGPTを企業利用するリスク
今大変注目されているChatGPTを、多くの企業や法人等で利用されていく事になりますが、ChatGPTを利用するリスクは以下の通りです。
- 情報漏洩
- 虚偽情報の利用と生成
- 倫理的に不適切な文章の生成
- 著作権侵害やプライバシー侵害
- 社員のChatGPT依存
- AIが生成するコンテンツと人間の専門知識のバランスが保てない
上述のようなリスクがありますので、利用する場合には何らかの対策を講じておくことが必要です。たとえば、「著作権侵害やプライバシー侵害」への対策例としまして、次のようなことが重要です。
- 法律や規則の理解・遵守
- 社内ルールと確認プロセスの整備
- 類似サービスの活用
- 著作権やプライバシー保護の研修・教育
ChatGPTの対策、AIの展望
ChatGPTはtextの生成AIであり、いまのところ産業界全体においてその影響は限定的と考えられます。ただ、個々の企業において顧客がChatGPTを導入する場合は、十分な対応が必要となります。
ChatGPT利用におけるデメリットやリスクに対して、企業では社内ルールの作成や対策を事前に十分に講じておくことが必要です。
IT系企業においては、独自のtextの生成AIの開発が大きなビジネスになる可能性があります。企業は常に競争により発展してきました。競合他社に後れをとらないようにビジネスを展開することが重要です。
AIは、得意とする画像認識、音声認識、言語識別、予測、制御等の分野でこれからも発展していきます。たとえば、製造業においては、需要予測などは今後も重要となるでしょう。
企業や法人等において、適切なる対策をとりつつ、AIやChatGPTの導入や活用により、今後さらなる発展を遂げられることを期待致します。
進藤勇治しんどうゆうじ
産業評論家
経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…
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