「意見は結果を出してから言え!」
若手の頃、上司や先輩にこのように言われた経験はありませんか?そして、今もそのように思っていませんか?
これはいわゆる、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)です。ここ数年、多くの企業が研修や講演で取り上げているテーマなので、馴染みのあるワードになっていますが、アンコンシャスバイアスとは、私たちが咄嗟に思う知的連想プロセスです。文化的背景、生きてきた環境などから、人それぞれの無意識の偏見は生じています。バイアスを持っている場合、その人に悪気があるわけではなく、その背景から反応してしまうのです。
講演でアンコンシャスバイアスをテーマにお話させていただく機会も多いのですが、ご自身のバイアスに気づいていただくために、チェックリストをご用意しています。
多くの受講者は、年齢、性別によるバイアスを持っています。例えば、「最近の若者は」「Z世代は」などの世代に関する年齢バイアスや、「男性なんだから」「これは女性が得意な仕事」などです。個別で見れば、それぞれ違う特性を持っているのに、つい括ってしまいますよね。
さて、冒頭に上げた例「意見は成果が出てから言え!」ですが、この考え方、比較的ある一定以上の年代層が思い込んでいるバイアスです。
以前、ある企業のアンコンシャスバイアス講演を実施させていただいたときの話です。出席いただいたのは、20代から60代まで幅広い方たち。一斉にアンコンシャスバイアスチェックをしてもらい、自身のバイアスがどの辺にあるのかを考えていただいたのですが、「成果が出ていないのに意見を言うのは良くないと思う」という問いに対して、40代以上のほとんどの方はチェックを付けている一方で、20代前半から半ばまでの方たちは、チェックがついていない、という傾向がみられました。そこで、40代以上の方たちになぜチェックを付けたのかお伺いしたところ、「自分たちもそう言われてきたし、できるようになってから発言権ができるものだ」とのご意見。一方で、チェックを付けなかった若手層に聞いてみたら、「成果が出ているのと意見があるのとは別のことではないか?」とシンプルに疑問の声が上がりました。それを聞いた上の世代は、理屈が通っていることに唸っていらっしゃいました!
私もその意見から、何て筋が通っている説明なんでしょう!と思ったのですが、私を含めてなぜかベテラン群は、一人前にならないと意見をいってはいけない、と思い込んでいたのです。
組織存続のために大きな力になるのは、イノベーションです。多種多様な人たちが意見を言い合うことで、化学反応を起こし、組織に変化をもたらし、社会にアウトプットしていく必要があるからです。
このような文化的なバイアスがあると、折角若手がよい意見を持っていても言いづらくなります。組織発展の弊害になるのです。誰もが意見を言いやすい環境、つまり心理的安全性が確保されているチームは、イノベーションが起きやすいものです。
ベテラン層が「成果が出てからでないと、意見は言ってはいけない」と思い込んでいると、若手が意見を言ったときに「生意気だ」「まだ一人前にもなっていないのに」なんて思い込み、彼らの意見に耳を貸さない、発言しづらい雰囲気を作り出してしまうのです。
成果だけではなく、発言で組織貢献することだってできるはずです。
ご自身の持つアンコンシャスバイアスに少し目を向けてみてはいかがでしょうか。案外それは「無意味」なものかもしれません。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
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