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2025年のテーマは『上司世代必見!いまの若い人との接し方・育て方』にすることにしました。昨年より講演の依頼テーマの中で「どうしたら若い人とうまくコミュニケーションがとれるか」という課題が多くみられ、このテーマはいまの変革の時代ならではの特徴と感じています。当コラムでは、これまで講演を実施させていただいた多くの企業の現場から聞こえてきた悩みや問題を私なりに分析し、その答えを提案していきたいと思います。
第一回目は、「自分たちのスタンダードをいったんヨコに置こう」です。
第1回「自分たちのスタンダードをいったんヨコに置こう」
私はれっきとした昭和世代ですが、昭和世代の人たちは自分たちの変な思い込みがよくあるものです。いまやそれはときに驕り(おごり)と化し、若い人とやっていく際に弊害でしかありません。これはつまり「自分はこういうつもりでやっているんだからいいだろう」と自分基準でしか物事を考えられないということ。昭和では笑いをとれた振る舞いも、令和ではハラスメントになることを理解できないのです。
発言にはいま一度注意を払う
そういう私もこの間、ミスを冒しました。とある企業での研修で、世代間ギャップについて話していたときのこと。つい会場の後方に座っておられた方々に対し「後ろのほうの皆さんは、若干ご年配層の方が多いようですが…」と言ってしまったのです。私は研修でいつも参加者の方と掛け合いをすることがよくあり、そのときも年配者と若い人を当てようと考え、その前振りとしてついそんな言葉を発してしまったのでした。ところがこれが研修後にクレームになり、お叱りの言葉をいただきました。自分としては「まさかそんなことが問題に…」と最初は思いましたが、いまの時代観からすれば人を容姿で判断するような発言は当然避けるべきです。自分の認識の甘さを思い知らされた出来事でした。
このケースのように、もし皆さんの中でも「それくらいのことで?」と思っている方がいたとしたら、ぜひその認識を改めてください。
若い人の気持ちに寄り添ってみる
先日ニュースで、退職代行サービスのことをやっていました。入社式当日もしくは三日後くらいに「この会社ではやっていけない」と判断して辞める新入社員が多くいると。そして彼らは退職代行サービスを使っているという話でした。これを聞いて、昭和世代は「そんなこと自分で言えよ!」と思うはずですが、確かにこういうことは言いづらい。加えて辞める会社であれば、もう会うこともないでしょうから、できるだけ接点を持ちたくないと考えるのも理解できます。昔はこうしたサービスなど存在しませんでしたから、やむなく勇気を振り絞って自ら辞表を書き、上司に話をしに行ったものですが、もし昔このサービスがあったらきっと私たちも利用していたのではないでしょうか。こうした現代の若者のふるまいをみて、ありえないと切り捨てる前に「確かにそうかもしれないな」と共感の気持ちをもってみることが大切だと思います。
仕事が終わっていないのに帰る?
自分に任されたタスクが終わらなければ帰れなかった昔と違い、いまは終わらなくても定時になれば帰ってしまう人も珍しくありません。もちろん若い人でも残って仕事を続ける人もいますが、定時には帰れることが規則ですからそれを強要することはできません。でも海外では昭和のころから、定時になれば仕事を切り上げる働き方も珍しくなかったですし、そう考えれば昔の日本の働き方のほうがおかしかったのかもしれません。なので、定時になって帰る若者を見て、やる気がないというのは間違いかもしれません。
まずは自分のスタンダードを横に置こう
このように、何が正しいのかは時代によって変わります。そして自分の感覚を改めるのは思いのほか難しい。ニュースでさんざんそんな話題に触れても、自分は大丈夫と思っているからです。私も冒頭の出来事で目が覚めた次第です。人は痛い思いをしないとなかなか変われませんね。
再度ここで申し上げますが、大切なことは、自分たちが生きてきたスタンダードをいったんヨコに置き、いまの基準を理解しようとすること。それが若い人との意思疎通を図る上での大前提なのです。では一年間よろしくお願いいたします。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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