企業に女性の登用を促す女性活躍推進法が28日午前の参院本会議で可決、成立しました。具体的には、企業に女性の採用比率や管理職の割合など数値目標の設定と公表を義務付けるもので、2016年4月から制度を開始することに。
推進法は、従業員301人以上の企業に(1)女性活躍に関する状況把握と分析、(2)数値目標や取り組みを記した行動計画の策定、(3)ホームページなどでの情報公開を義務付ける、といったもので、300人以下の中小企業は「努力義務」とするとのこと。数値目標を法律で定めることは見送られ、採用や管理職の比率、勤続年数の男女差、労働時間の状況などから企業が任意に選ぶことに。
25年度までの10年間の時限立法とし、集中的な取り組みを促す。
(日本経済新聞朝刊8月28日付 抜粋)
ようやく女性活躍推進法が可決され、ますます各企業、団体ではこの活動が活発になることと思われます。大手企業を中心に、すでに取り組みを始めているところも多く、3~4年ほど前から金融、製造業、サービス業、ゼネコン、不動産業など、幅広くお手伝いさせていただいています。
3~4年前からこの取り組みをスタートしている企業は、この法案が可決する前から、採用に関連付けて考えているところが多いようでした。
というのは、今、働いている女性社員が、男性と同等に、また、女性のライフイベントも乗り越えながら活躍している状況を作らなければ、新卒採用をはじめ、中途採用にも影響が出る。つまり、優秀な女子学生たちに選んでもらうためには、早目に形を整えなくてはならない、と考えていたようです。
このように、スタートダッシュが早く、しかもその場限りではなく、きちんと経営戦略として継続的に活動してきた企業は、今、女性の新卒採用では優位に立っています。
途中、予算が減ったことで、女性活躍推進に時間とお金が掛けられなくなり、頓挫する企業もありました。しかし、この法案が可決されたことで、より真剣に取り組む組織も増えていくことでしょう。
私が多くの企業を見てきた中で、うまく進んでいる組織の共通点は「継続性」です。今まで積み上げてきた会社の体制、意識は、一朝一夕で変わるものではありません。女性社員向け研修、女性管理職登用施策と教育、女性部下を持つ管理職研修、メンター制度導入、女性のための分科会、勉強会、制度の改定、トップからのメッセージなど、手を変え品を変え、続けることが大切です。
私の感覚としては、女性は気づくと早いです。根が真面目な人も多く、自分ごと、としてとらえられたり、中には今、自分たちがきちんと頑張って女性にも働きやすい環境を作らないと、自分たちの子供が困ることになる、と前向きに取り組んでくださる方も少なくありません。
研修に出るまではネガティブで、なんで私が?、とか、会社の戦略に乗っかるもんか、と抵抗していた方も、そういうことではなく本来の意味が理解できると前を向いてくださいます。
実は結構時間が掛かってしまうのが、バブル期以上の男性です。研修や講演で話を聞いてくださった後は、とても納得してくださり、頭ではご理解くださるのですが、行動を変えるのに時間が掛かります。そのため、講義では、より多くの事例、ケーススタディを入れるようにしているのですが、今までのやり方を急に変えるのは、人間しんどいものです。
しかし、管理職相当の彼らに協力していただくことが、組織の環境変化には欠かせません。そう、時間が掛かり、大事なことは、今まで積み上げてきたものを否定せずに、変化についていけるように、管理職をサポートすることなのです。
女性活躍推進は、「急に女性に変われ、と言っても難しい、慌てずゆっくりに」とよく言われますが、実は女性はそんなに心配ではありません。一度、変わるぞ、と腹をくくって、お互い支えあう体制ができれば早いのです。
今まで組織を作り上げてきた男性にどのように理解してもらい、変化に協力していただけるか、ここが肝になると思っています。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…
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