さて、このテーマもいよいよ最終回となりました。「現場を活かすマネジメント」については、これまで3つの分野に分けて書いてきました。以下はその要約です:
皆さんはどの項目が一番ピンときましたか。今年一年、このコラムを書きながら多くの現場で講演をしてきましたが、いま改めて各分野について大切だと思うことをまとめます。
まず「空気」のマネジメント。ここでは上司の思いや行動について述べましたが、一番必要なことは、それをバックアップする組織の構造です。先日、ある物流倉庫会社に伺ったのですが、そこで働く8割の方が子育て中のパート女性でした。おもしろいことに、この会社は各現場のトップには女性が就き、それをサポートメンバーの男性が支えるという組織の構造になっていました。理由は「現場の人がついてきやすいようにそうしている」のだそうです。たしかに男性の上司よりも、同じ女性で子育ての経験もある女性のほうが苦労も悩みもわかるはず。同じことを男性の上司が言っても、同性の言葉のほうが受け入れやすいかもしれません。このように組織体制から変えているこの会社からは本気度を感じました。
2つ目は「人」のマネジメント。ここでは「オルガナイズ・スモール」という言葉に尽きます。つまり、たくさんの人を管理しようと思ったら、小さく分け、そこに権限を委譲してしまうことです。人は大勢の中にいると必ずサボる人が出てきますし、受け身になり、やらされ感がでてきます。それを避けるためにも、小グループに分け、テーマを投げかけ、あとは自主的にやらせることです。しかし、決して放任ではいけません。必ず定期的にチェックポイントを設け、方向性があっているかを確認すること。ここを怠るケースがとても多いですが、任せて終わりではなく、任せた側にも責任があることを忘れずに。
そして最後の「制度」のマネジメント。ここでのポイントは、制度そのものではなく、その運用にあります。この「運用」という側面はとかく忘れられがちです。どんなに外部のコンサルタントに高いお金を払って素晴らしい制度を設計しても、それを日々運用するのは現場の人たちです。最初は運用サポート部隊を作って、各現場を回り、決めた制度がきちんと実行されているかをチェックしたり、現場で問題が出ているなら迅速に対応して修正をかけたりと、「運用」を軌道に乗せていくだけでもひとつの大きな仕事です。そこが理解されていないと、どんな素晴らしい制度も絵に描いた餅で終わってしまいます。ぜひ、制度設計+運用をワンセットで考えてください。
皆さんの現場が活きると、組織の力がアップします。個人の力では成しえない、大きな成果を手にすることができるはず。ぜひ「現場を活かすマネジメント」を実践し、職場を元気にしてください。
来月からは、また新しいテーマになります。そちらもご覧いただけましたら嬉しいです!一年間お付き合いいただき、ありがとうございました。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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