「LGBT」「マタニティ・ハラスメント」「ダイバー・シティ」「妊活」「卵子凍結」。脈絡もなく、思いつくままに書き出してみたけれど、これらはほんのここ数年の間に私たちが覚えた言葉だ。女性の婚期を「クリスマス・ケーキ」に例えて、二十五歳がぎりぎりの売り時だとおおっぴらにいわれていた昭和の時代には考えられない単語ばかり。その後、クリスマス・ケーキから大晦日ぐらいまで修正されたはずだけれど、どちらによせ、結婚をしない女性は「売れ残り」なんていわれていた。たとえ未婚がその人の意思によるものであっても。
二○一六年の今、女性の発言権も権利も増えた。極端ないい方をすれば、社会でひとつの人格として扱われるようになった。いや、なったように、一見は思える。結婚や出産はもちろん、スカート丈や髪型、仕事の後でのプライベートに言及しただけでも「セクハラ」と認定されてしまうこともあるんだとか。
正直にいうと、昨今のハラスメント(性差別に限らず)やコンプライアンスの連呼にはうんざりしているけれど、まあ、これは社会が成熟していく時に必要不可欠な摩擦なのかもしれない。適度なこと、過剰なこと、不足なことのバランスが整うまでの。
選択肢が多いのはもちろん、良いことだと思う。理不尽に我慢したり、やむなく受け入れたりせずに済む。けれど、それが増えた分だけ悩みも増える。もしかしたらあっちの選択肢のほうが正しかったのかも、こちらの選択肢で良かったのだろうか、と後悔の機会も増える。出産というタイムリミットがあるものに関していえば、選択を悩んでいる間にも、その可能性は日に日に減っていく。どんなに社会が成熟しても、世間の意識が高まっても、「産む生き物」としてのタイムリミットを変えられるわけではない。
卵子凍結という言葉もあっという間に身近なものとなった。言葉だけが浸透すると、凍結さえしておけばいつでも妊娠が可能のようにとらえている人も少なくない。けれど凍結する卵子だって、若いほうがぐんと可能性が高い。増えたように見える選択肢も、万能なものではないのだ。
情報があふれている分、むしろ女性が不自由になった側面もあるのではないか。だからこそ情報の取捨選択が必須だし、そのためには、結局、自分はどうしたいのかという意思を自覚するきだと思う。
甘糟りり子あまかすりりこ
作家
玉川大学文学部英米文学科卒業。学生時代は資生堂のキャンペーンガールを経験。大学卒業後、アパレルメーカー勤務。雑誌の編集アシスタントを経て、執筆活動を開始させる。『東京のレストラン』『真空管』『みちたり…
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