某大手企業が、女性役職者を増やすという目標の達成に向け、社外から転職エージェントを通して採用を呼び掛けています。この取り組みには様々な意見があります。
「自社では育てられないのか、または育っていないのか」
「社内には適任がいないと公言しているようなもの」
などなどです。
私は、様々な企業の女性活躍推進をお手伝いさせていただいておりますが、中には同じように外からの採用を積極的に実施しているところもある一方で、現存の女性社員の育成に力を入れ、その中から役職者を輩出していくと方針を打ち出している企業もあります。
私は研修講師としてお伺いするため、後者の企業からのご依頼が多いのは当然ですが、一つ感じるのは、きちんと育成することさえすれば、またその際に会社からのメッセージとして心から期待していることが伝えられれば、女性は応えてくれるということです。
さて、役職者になりたくないと思っている女性の気持ちは・・・様々なデータを調べてみたところ、対象者の差があるためか、パーセンテージに多少の開きがあり、50%台から80%台が中心でした。しかしいずれにしても、なりたくない女性のパーセンテージは、半数以上でした。その理由として、よく出てきた内容は、
・ワークライフバランスへの問題
・大変そう、責任が重そう
・諦めた
などです。
研修で女性の役職候補者に管理職への意向を本音で聞いてみると、同じことが上がってきます。
「うちの会社の管理職を見ると、残業も多いし、両立なんてできなそう。何かを犠牲にしている人たちばかり。」
「わけのわからないミーティングに出させられて、いつも上司は席にいない。大変そう」
「以前、目指そうかと思ったが、うちは管理職が男性ばかり。女性の意見は、そもそも通らない。あの中に自分が入ると思うと戦わなくちゃいけないのが目に見えている」
そして、同時に感じることは、女性たちは管理職が何をする人なのかを知らないで、「大変そう・辛そう」と感じているのです。そこで研修では必ず、管理職とは何を期待されている人なのかをひとつひとつ、解説していきます。
さらに大事なことは、結果は出さなくてはならないが、やり方は今の男性管理職やベテラン女性管理職と同様でなくてよい、ということを伝えます。時代によってもリーダーシップスタイルは変わっていきますし、何よりも自分らしいやり方を見つけることと、それを結果に結びつけることです。
今まで社内の女性たちに役職者としての期待をしてこなかった会社も多いはずです。特に製造業やゼネコンなど、男性が力を発揮することが中心で、その男性たちが発揮しやすいように女性はサポートに回っている、という仕組みの産業です。
過去の形式にとらわれているほど、今も「女性が得意なのはこの仕事」と決めつけがあったり、また「管理職は無理だろう」という思い込みがあるようです。
外で経験を積んだ中途の採用は、女性社員にはもちろん、社内的にもよい刺激になると思います。しかし、女性役職者を増やすためには、既存の女性社員への教育をしっかりとし、期待していくことも必要であり、この両軸が大事ではないかと感じています。
また、既存の女性社員には、外部から女性役職者を採用するのであれば、きちんとした説明を欠かさないことが大事です。私たちには期待していないのねと、モチベーションを下げないためにも。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
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