いきなりですが質問です。
「この羊(よう)かんを見てどう思いますか?」
(うーん、いきなりどう思うって言われてもなあ…)
(えっ何を答えればいいわけ?)
では、質問をこう変えましょう。
「このようかんのいいところは?」
(いいところね、だったらたくさんあるな。えっと、まず小倉の文字がいい、和風のデザインが食欲をそそる、ハンディサイズで小腹がすいたときにちょうどいい、左右対称のデザインが潔い…)
今度はたくさん思いつくはずです。これは「どう思う?」という漠然としている質問の的を絞り、「いいところ」という視点を与えたために、相手が考えやすくなったためです。
最近、研修で私は体験型、ゲーム型の要素をたくさん取り入れています。そのほうが皆さんの気づきが深いと感じるからですが、この深さの質を左右するのが、アクティビティのあとの「振り返りの時間」。英語ではdebriefingといいます。これは、アクティビティのあと、こちらから質問を投げかけ、何がうまくいったか、どんな気づきがあったか、仕事に応用できることはあるか、など、参加者が自分の体験から学びを見つける時間です。
ところがこのとき、質問の投げかけ方を失敗すると、いい気づきを引き出しにくくなる。さきほどの羊かんのように「どうでしたか?」だけだと、「楽しかった」「疲れた」などバラバラの感想がでてきて、こちらが意図する落とし込みができないことがよくあるのです。
なので、たとえば、チームでフラフープをくぐる速さを競うゲームをやったあと、リーダーシップについて気づいてほしいなら、
「人を信頼するってどんなこと?」
「人をまとめていくときに、何が大切?」
という聞き方をすると、各自の考える方向がそこに向かっていく。この視点を与えるかどうかで、体験の質が格段に違ってきます。
皆さんも職場で「どう思う?」というオープンクエスチョンを投げても、部下から思ったような答えが返ってこないときがありませんか。そんなときは、少しこちらで視点を与えてあげましょう。
「今日の会議、どう思った?」
⇒「今日の会議で、使えそうなアイデアを3つ教えてくれる?」
「この前の展示会、参考になった?」
⇒「展示会みて、明日から仕事に応用できることはある?」
部下の意見がでてこないのは、部下の出来が悪いんじゃありません。あなたの視点の与え方がずれているんです。
あなたのものの見方を変えてみませんか?
(※謝辞:このコラムのヒントを与えて下さったのは、している株式会社でファシリテーターをされている大橋邦吉さんです。ありがとうございました)
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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