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2008年10月15日

具体的な取り組み(1)

前回までにワーク・ライフバランスを促進するメリットについて考えてまいりましたが、今回から、実際にワーク・ライフバランスを実現していくために企業はどのような取り組みを始めればよいか、具体的にご紹介してまいります。

はじめにご理解いただきたいのは、「ワーク・ライフバランス」という特効薬があるわけでは無いということです。企業によって業種・規模・企業風土・これまでの取り組みの経緯などが異なるため、すべての企業に適用できる共通した導入手法というものはないのです。自社の特徴にあった施策を見つけていくことが、ワーク・ライフバランスの実現のために必要なステップになります。ただ、ワーク・ライフバランス施策を導入する際にクリアしていく基本的な枠組みはありますし、問題が生じる段階もある程度までは特定することが可能です。それをまとめたのが、今回からご紹介します8つのステップです。では、さっそく見ていきましょう。

■ステップ1 プロジェクトチームを作る
多くの企業が歩むワーク・ライフバランス施策を導入する第一歩は、担当メンバーを決め、改革の中心となる「プロジェクトチーム」を設けることです。さらに、ワーク・ライフバランスに関心があり、問題意識を持つ社員を活動に巻き込む「ワーキンググループ」を結成することも有効です。ワーク・ライフバランスの導入がスムーズにいっている企業では、必ずといっていいほどこうした組織を活用しています。特に多くの部署や支社・支店を抱える大企業の場合、組織のすみずみまで改革の精神を行き渡らせるには、不可欠な存在となります。
ワーキンググループのメンバーは、その「現場感覚」に価値があるので、通常業務との兼務というのは避けられない部分ですから、業務時間中に活動することを社内に告知し、マネジメント層の理解を取りつけ、経営層には活動を奨励してもらうなど、会社全体でワーキンググループの活動を支援するための仕組み作りをしておくことが大切といえるでしょう。
最初にプロジェクト体制をしっかり整えておくことが、後のステップをスムーズに進める鍵を握っています。是非、あなたの会社らしい体制を整えてみてください。

■ステップ2 スケジュールを組む
プロジェクトチームを中心にプロジェクト体制ができたら、次にワーク・ライフバランス施策を導入するスケジュールを考えましょう。詳細スケジュールは、具体的に導入する制度が決まった時点で組んでいくことになりますので、この段階ではおおまかなスケジュールで構いません。社内ニーズの調査、経営層への提案と承認、社内広報など節目となる事項を、会社全体の予定なども勘案しながら、まずは「1年半=18ヶ月」を1つのタームとして組み込んでおきましょう。
まず、3ヶ月でプロジェクトチームを立ち上げ、メンバーの意識統一や基礎情報の収集を行います。次の3ヶ月で、社内のアンケートやインタビュー実施と計画を作成します。その後、1年かけて具体的な行動を進め、1年が終了した時点で一度振り返って評価します。一度の取り組みでは不十分な点や新たな問題が生じることも多く、そうした箇所を発見し、次につなげるチェックとフォローを行っていきます。

スケジュールを立てたら、いよいよ実行です!次号では実行していく際のポイントをご紹介してまいります。

小室淑恵

小室淑恵

小室淑恵こむろよしえ

株式会社ワークライフバランス代表取締役社長

ワーク・ライフバランスコンサルティングを900社以上に提供している。 クライアント企業では、労働時間の削減や有給取得率の向上だけでなく、業績が向上し、社員満足度の向上や、自己研鑽の増加、企業内出生率…

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