「女性らしさを活かして」「女性が活躍」「女性が輝く」
女性活躍推進では、このようなワードが出てきます。企業でもそうですし、また国の施策でも同じです。そんな中、私が疑問に感じることは、「どのような状態」を言っているのか話し合われていないまま、推進しようとしていることです。
例えば、よくある光景なのですが、会社の方針として「もっとうちの組織では、女性が活躍できるように進めていきたい」とトップメッセージが発信されます。そこで、私の方から「女性が活躍しているとはどういう状態をイメージされていますか?」とご質問させていただきます。
実は、反応として多いのは曖昧な回答です。人事の方への質問で、このようなことが起こります。その中でも多い回答は、「女性がもっと上位職を目指す、高い意識を持てる状態」と「女性らしさを活かした活躍ができている状態」です。
まず、女性が上位職を目指したいかどうかのアンケートを取ると、会社によって様々な回答が上がってきます。このアンケートを取っているデータ対象者によって、様々な結果が出るので、世の中には管理職を目指したいかのデータをとったものはたくさんありますが、回答は実に様々です。
そこで、私が様々な業界で講演や研修を実施した際の生の声から考えてみますと、
・大手企業では30代後半以上の女性が管理職候補に挙がるケースが多いが、その層は採用時から今に至るまで、その役割を期待されてこなかったために、「経験不足への不安」、「そのようなキャリアの準備してこなかったことへの驚き」、「拒絶感」から、管理職になりたくないという人が多い。
・同年代でも外資系やベンチャーではあまり抵抗感がない。その理由は、目指さなくても自然と上がっていたから。男女の差や年功序列がなく、フラットに経験を積んだ先に管理職があるから。
・大手でも20代は、積極的に管理職を目指したいと思わなくても、そのような打診があれば受けることになる、と管理職を普通のキャリアとしてとらえている。しかし、先輩女性を見ていると、管理職になって活躍している人は少ないので、不安を感じてしまっている。特に不安を感じることとしては、ライフイベントとの両立。残業がある組織では、正直難しいと感じている。
このような差が見えます。
となると、「上位職を目指すような高い意識を持ってほしい」という対象者は、大手企業の30代後半以上の女性と、その候補となる20代女性たちです。それぞれの対応策は違い、30代以上に対しては、経験を補うことや心の準備のサポートを会社が丁寧にすることかと思います。
そして、そのあとに続く若手女性たちが管理職候補として育つためには、会社の働き方を変えること、評価者を上司に委ねすぎないこと、かと思います。というのも、まだまだ日本の組織には、どれだけ会社に長時間残り、時間の貢献をしたか、が指標となっている上司が多いからです。どんなに残業をなくせと言っても、この上司の残業至上主義がなくならない状況です。これを解決するには、上司の意識改革だけでなく、評価を委ねないことではないか、と感じています。
「難しいんですよね・・・」
こんな風に推進担当者が頭を悩ませていますが、まずは、何を目指すのかをもう一度話し合い、明らかにし、女性社員の話をもう一度深く聞き、具体的にすべきことをまんべんなく挙げてみてはいかがでしょうか。そして、「必ず実践」していただけたらと思います。研修や講演だけでは解決しません。実際に、何かをやり、やり続けている企業が前に進んでいるのを感じますし、会社が目指す女性活躍とは?によって対策が異なります。
それでは、「女性らしさを活かした活躍ができている状態」を目指す組織の課題は何でしょうか。そもそも「女性らしさを活かす」とは?
次回のコラムで考えてみたいと思います。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…
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