なるほど、こう話せば…。
先生たちに連れられてピンクの運動帽をかぶった子どもたちが、電車に乗ってきました。保育園の子どもたちのようです。通勤電車の混雑からは、少しずれていますが、ここから3駅ほどのK駅で普通電車に乗り換えるようです。
子どもたち9人は、きっと雪が積もらなくてよかった、遠足に行けると心弾ま
せ乗って来たに違いありません。
電車では、おしゃべりしないことときっと約束してきた様子です。
しかし、おしゃべりしたいもの。
ちょっと大きな声で、おしゃべりする子がいます。
先生:「おしゃべりは、しません。おしゃべりをしていると『次はK駅です』というアナウンスの声が聞こえませんね。」「聞こえないとどうなりますか? 乗り過ごしてしまうかもしれませんね、ですからおしゃべりはしません」
先生:「お弁当のときに楽しく話をしましょう」
子どもは分かった様子ですが。
「ご飯の時しゃべっちゃいけないといわれるよ」
先生:「話をしながら食べるとおいしいわね。どうしたらいいか、考えてくだい」
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子ども:「何で萩山なんだろう」
先生: 「萩がある山だったのかもしれませんね」
子ども:「おはぎもはぎ」
先生: 「そうです。萩からきています」
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子ども:乗客が新聞を読んでいるのを見て、
「うちのお父さんは、家で新聞を読んでいるよ」
先生:「そうね。ここで読むのが、都合のいい大人もいるのね」
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車内アナウンス:「次は、K駅。左側の扉が開きます」
先生:「左はどっち?…そうですね。止まったら、下を見て気をつけて降りましょう」
子どもたちは、無事に乗り継ぎの電車に乗っていきます。
先生は、1.2.3.・・・と子どもたちの頭数を数えています。
目視でも分かる数ですが、指差しで1.2.3…と。
私たちは、子どもが電車で騒ぐと何と言うでしょうか?
「周りの人の迷惑になるからやめなさい」「電車の中は、静かに」と。
私もそういうでしょう。
この先生の会話を聞いていて思いました。
子どもに他の乗客の迷惑になる、マナー違反だと言っても、
きっとわからないでしょう。
つまり、自分の行動が他者に及ぼす影響など、
理解することはとても難しいでしょう。
しかし、自分にとっておしゃべりをしているとどうなるのかという視点で考えさせる。
そうすると、次に起こること、アナウンスが聞こえないと降りる駅が分からない、
間違った駅で降りてしまう…ことを想像させる。
その結果、行動が変わるということです。
常に自分の行動を考えさせているのはないでしょうか。
自分のことに置き換えることで、どうなるかを予測し、
分からなくなると困るという感情から行動が変わる。
なるほど、こう話せばいいのか、…ロジカルトーキング。
何々であると、何々となる、したがって、何々である。
大人にだって通じることですね。
他にもこの先生の言葉は、とても興味深いものでした。
「考えなさい」「それが都合のいい大人もいる」・・・なるほど。
「です」「ます」の話し方に誠実さが、あふれている。
考える力、理解する力、観察する力、
論理的に話す力等など「自立」への基礎固め。
世界に通じる未来の子どもたちは、一人ひとりの大人が作っていく。
今頃あの子達は、おしゃべりいっぱいの楽しいお弁当を食べているころでしょう。
青柳教恵あおやぎみちえ
OFFICEAOYAGI 代表
人生100年時代を生きる人と組織、社会の成長を願って。 自分らしく生きるための「仕事」「生活」「サードステージ」のヒントを人材育成研修講師・キャリアコンサルタントの視点で提供していきます。 日本航…
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