働き方改革や女性活躍推進・ダイバーシティ推進のために管理職向け研修を実施させていただいておりますが、その際必ず意識していただきたいとお伝えしていることが、「部下に興味を持つこと」です。
働き方改革を推進する際に、仕組みだけ整えようとしても、現場は変わりづらいですし、効率化ばかりに意識が向くと、部下のキャリアアップにつながりません。また、女性活躍・ダイバーシティ推進も部下の特性を見ていなければ、それぞれの個に合わせた関わり方ができません。
人はそれぞれ違いがあり、部下をひとくくりにはできません。部下のやりがい、今までの経験からの強み、性格的な特性(クセ)。これらを理解していないと、個それぞれに合わせた対応を取ることができません。
しかし、残念なことに、管理職によって部下に対する興味の度合いは大きな差があるのを感じます。部下に興味を持っている上司は、部下の特性に合わせて、関わり方、コミュニケーションの取り方を変えています。そして当然、評価もきちんと正しくしています。先日、ある女性が「私の上司は、ダメなところはダメと指摘してくれますし、よいところはよいと正しく評価してくれるんです。部下をよく見ているのを感じます。」とおっしゃっていました。当然、上司と部下は信頼関係ができていました。そんな上司からダメなことを指摘されても納得感があるようです。
管理職研修では、様々なことを推進するためにも、部下分析のワークを必ず入れ、まず管理職の方自身に、部下に興味を持っていただくことから始めます。
部下分析のポイントは、以下の3点です。
・将来部下本人が願うビジョンを知っているか
・部下の強みとその理由
・部下は何をやりがいだと思っているか
これらを書き出してもらうのですが、スラスラ書ける上司と書けない上司に大きな差があるのを感じます。書ける上司は、日ごろのコミュニケーションが取れているのは勿論ですが、前提として、部下に対して興味を持っていると感じます。
なぜこの差が出るのかを、ずっと考えていたのですが、理由は三つあるようでした。一つ目は、近年、プレイングマネージャーが多く、管理職として部下育成まで意識が回らない。二つ目は、管理職本人が上司に手をかけられて育成されたという経験がない。そして三つ目は、そもそも自分のキャリアを考えたことがなく、自分に向き合って自己分析をしてこなかった。特に三つ目の、自分に興味を持って自己分析をした経験がないために、部下に興味が持てない管理職は、確かに時代的にそのような教育はなかったといえばそうなのですが・・・。非常に多いと感じます。
そこで、上司の皆さんにも自分に興味を持っていただくため、自己分析をしていただきます。
質問は以下の3点です。
・〇年後、または定年退職後のビジョンは?
・自分の強みは?
・自分の大事にしたい価値観は?
そう、部下分析する際と同じようなことをご自身にも問いていただくのです。これがわからないという管理職が非常に多いのを感じます。部下に興味を持っていただくためには、まずはご自身に興味を持つことが大事なのかもしれません。
猛烈に働いてきた管理職の皆さんは、なかなか内省する時間がなく、会社の期待に応えることが当たり前と思い、自分の強みや、やりがいを考えてこなかった。こんな方が多いと思います。
自分に興味を持つことでまずは自分を大事にすることができるのではないでしょうか。そうすると、人にも興味を持ち、部下を大事にすることにもつながるのです。自分も相手も尊重する。管理職はじめ、誰もがそれをすることで、本当の意味で働き方改革、女性活躍・ダイバーシティも推進しやすくなると感じています。
藤井佐和子ふじいさわこ
キャリアアドバイザー
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